10/8(土)〜10/30(日)

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 読書人や文藝乙女たちのオアシス、大阪・堀江の貸本喫茶「ちょうちょぼっこ」の古本が200冊、タコシェにやってきます! …って、実はちょうちょぼっこで絵本の大イベント「ラララ えほん」を行う10月の間、絵本に場所を譲った古本たちが大移動してくるんです。本好きの女子四人が作る喫茶と読書の空間にいきづく古本たちに東京で出会えるチャンスです。貸本喫茶の雰囲気の一部を味わうべく、特製の読書レビューつきチャイセットも販売します!

 ちょうちょぼっこは4人の女子が共同で運営するお茶も飲める小さな図書室みたいな空間です。堀江の雑居ビルの4階にこじんまりとあって、金・土・日の週末だけやってて、心地よくも静かに本を選んだり読ませてもらえます。4人がそれぞれ好きな本を持ち寄って、手放したくないけど、みんなに読んでもらいたいという本を貸し出しています(販売コーナーやミニコミのお取り扱いもあります)。ときどき、古本屋さんでも新本屋さんでもやらないようなイベントも行っているので、そのときはお見逃しなく。
 ちょっと乙女チックで文藝好きのちょうちょぼっこと、タコシェは一見趣向が違うように見えますが、本に関して好奇心旺盛でいて偏見のない四人はタコシェに自費出版した古書ガイドブックを納品してくれたり、タコシェの大阪での出張販売の機会を与えてくれたりと交流を重ねています。初夏にタコシェが大阪にお邪魔したので、今度はちょうちょぼっこに東京に来ていただきました。

古本が届きました
出張古本市をひかえたタコシェの売り場はいまや、引っ越し作業中のよう。本を詰め込んだ段ボールがどどーんと置かれています。(写真は段ボールをあけたところ)ちょうちょぼっこによると本の内容は
●増田れい子、向田邦子、牧羊子、室生朝子、森田たま、尾崎翠、城夏子、幸田文、矢川澄子などの女流作家による小説やエッセイ
●雑誌『太陽』『ユリイカ』『現代詩手帖』など
●手芸本や料理本
となっていますが、女流といっても桃井かおり、中山千夏、宮城まり子、高峰秀子、沢村貞子などタレント本もちょっとずつ入っていて、そのあたりが妙味です!あと、装丁や挿絵がさりげなく宇野亜喜良や佐野繁次郎の本とか、パツキン美人の写真が表紙を飾る昔のフェロモン系の本などなど。料理本も、レシピ集でなく、荻昌弘のような文人グルメ系が多いのでお料理しない人でも食いしん坊さんなら楽しいと思います!ほかにはエチケット本、大橋歩のおしゃれ本といった実用書もあり。
 4人がばらばらに選んだ本が詰め合わさっているので、特にどういう本が多いとか傾向もあってないような、でも何かある…って感じなのですが、誰でもきっと気になる本が何冊かはあるはず!というような面白いとりあわせですので、のんびり見に来てください!
女流小説・エッセイ--増田れい子、向田邦子、森田たま、幸田文、室生朝子、萩原葉子、城夏子、矢川澄子、尾崎翠、富岡多恵子、戸川昌子、田辺聖子、
小説・エッセイ---深沢七郎、植草甚一、吉行淳之介、伴田良輔、山口瞳、源氏鶏太、安岡章太郎(田村義也の装丁)、荻昌弘、開高健、永六輔、和田誠
女優・タレント---黒柳徹子、桃井かおり、中山千夏、宮城まり子、高峰秀子
俳優・タレント---森繁久弥、伊丹十三、唐十郎


お茶もお召し上がりください
ちょうちょぼっこは、貸本喫茶なので、お茶を飲みんがらその場で図書館みたいに本を読んだり、貸してもらって家で読んだりできるます。タコシェでもお茶をお出しできればいいのですが、あいにく狭くて…。というわけで、ちょうちょぼっこで使っている茶葉を使ってチャイのセットを作ります。
 永谷園のお茶漬けについてくる東海道五十三次のカードみたいに、喫茶にまつわる本を紹介する読書カードが入っていますよ。カードは全部で8種類。何がでるかはお楽しみ! ラベルもちょうちょぼっこでガリ版印刷していただき、チャイのレシピもつけていただきました。古本を買ってお家に帰ってあたたかいお茶を淹れて読書を楽しんでください。でもって、読書カードによってすてきな本との出会いがまたあるとよいですね!(写真は、色紙に印刷して送られてきた読書カード。きれいでしょ。絵本の展示の準備で忙しいなかわざわざ作ってくれました。)
※茶葉はちょうちょぼっこで使っている堂島のムジカのもの。ここのご主人・堀江敏樹さんの「紅茶の本」も出張古本市に入ってます。
※ちょうちょぼっこのレシピに加えてチャイのスパイスに胡椒を入れてみました。インド料理店で胡椒の効いたチャイを出されて、切れのよさが気に入ってしまったので。よかったら試しに加えてみてください。

『アッパさん船長』(中央公論社/中公文庫)
 映画の黄金期、ヨット三昧のスターの生活&一転して遭難の記録
 石原慎太郎の仲介でヨットを購入した森繁は、ベテランクルーと息子二人を引き連れ、横浜〜西宮の初航海に出る。世間の目の及ばない海の上で一人の男に戻り、父としてサバイバルな雄姿を息子たちに示し、日々逞しさを増す息子たちに目を細める森繁。妻と娘は陸路でヨットを追い、港ごとに落ち合っては家族の絆を確かめるクルージング型ホームドラマが冒頭の『メイ・キッス号の船長』。
 しかし! その後、森繁のヨット熱はエスカレートし、昭和37年、世界一周も可能な大型外洋帆船の建造に着手。借金まみれになりながら1年がかりで「ふじやま丸」を完成させ、進水式には皇族や大臣まで招き管弦楽団の演奏でもてなすという栄華の絶頂を味わう。直後、大阪で舞台に立った森繁は、ふじまや丸を西宮に繋留。ある夜、台風が港を通過することを心配した森繁夫妻は船に泊まる。が、風雨はすさまじく、目覚めた時には、船は木の葉のように嵐に揉まれ座礁。船を捨て、救命ボートで海に降りた夫妻は荒波に飲まれ海の藻屑となりかける。妻を必至で掴みながら波間でもがく森繁は奇跡的に波止場に打ち上げられ、這うようにして埠頭事務所に辿りつくのだが、荒海に目を向けると、両親を助けようと後を追って飛び込んだ息子が荒波に弄ばれていた…。行き過ぎたヨット道楽を戒め、自然の猛威を忘れぬよう教訓として書き残した『“死”の波濤の中で』の命がけの脱出劇はドラマ以上に劇的です。
『森繁自伝』(中央公論社/中公文庫)
 非イケメンがスターにのしあがるオヤジがギラギラしていた時代
 昭和37年、森繁50才の自伝。幼くして父を失いながらも、その遺産で恵まれた少年時代を過ごし、大正リベラリズムの空気の中、演劇青年となり大学を中退してしまった森繁。しかし、虎の子の父の遺産も株に手を出し失い、心機一転、NHKのアナウンサーとして満州の地に赴くも敗戦。
 引き揚げて闇屋となったが、菊田一夫に拾われ再び芝居の世界へ。30才を過ぎて妻子を抱えての役者再スタートに、二枚目でも三枚目でもない独自の路線を戦略的かつしたたかに演じ、映画スターの座を築くまでの、高度経済成長に重なる“ギラギラ”役者人生を振り返ります。人生50年で著した自伝が、まだ折り返し点であったとは、まさか当時の森繁は思いもよらなかったであろう…。