2006.09     トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA

●06.09.29 ナイスショット
 電車の中吊りでみつけた宮里藍ちゃんにハッとしました。かつて映画館の看板で目にしたのと同じタッチの顔イラスト…。藍ちゃんは20才くらいだと思うのですが、一まわりは上の熟女感が出ています。顔の造作を極端に強調した似顔絵とは違って、写実的でいながら、描き手の手癖というか嗜好がオーラのように現れるこの手のイラスト。そういえば、石原豪人先生も挿絵画家になる前に映画館の看板絵描きをなされてましたが、先生の場合も、清純派スターを描いても男を描いても色気が出過ぎてしまったとか。職人的な技術力がありすぎて、似顔絵のようなデフォルメや批評性を加えずとも人物が描けてしまい、その余裕ゆえに滲み出たお色気に、画家の無意識や潜在意識が宿るようです。写真が当たり前になって、お風呂屋さんの富士山の絵のように激減している顔イラストの底力を思い知りました!

●06.09.28 TO GO
 東郷健さんに捧げる(74才にして、ますますお元気です)イベント『もっともっと愛を』。デリシャスウィートスがチアリーダー風にT.O.G.O.Wのアルファベットを書いたパネルを持って応援したり、渚ようこさんが寄り添ってデュエットしたり…、と女性ゲストたちの暖かさに包まれたナイスイベントでした。働く自立女性にとってオカマさんは偉大な先輩です。オカマの道はおんなの道。
 バラエティ番組にジェンダーフリーな人々が欠かせない昨今、政見放送でもって強引にお茶の間に現れた斬り込み隊長?東郷さん。メディアで稀釈されず、いまなお雑民魂あふれるOAできない人生は自伝『常識を越えて』をぜひご覧ください。

●06.09.24  日曜美術館
 教育テレビの日曜美術館がスタートして30年ということで、この日の番組の特集は「日曜美術館」。過去に放送した貴重な映像のダイジェストで、東京芸大美術館の「30周年展」に連動したもの。展覧会では武満徹がルドンを、池波正太郎がルノワールを、田村隆一がゴヤを語り、知人同士ということで船越保武が高村光太郎を、猪熊弦一郎が熊谷守一を語る映像のほか、岡本太郎や中川一政の制作風景が流される。田中一村、丸木スマといった日曜美術館によって多くの人に知られるようになった作家の紹介映像もあり、私が興味を持ったときにはご高齢だったり亡くなっていた作家も多いので、元気に創作に励む姿を目にすると、長らく憧れだった人にようやく出会えたような感動があります。
 番組の終わりのこの秋の展覧会の紹介では、タコシェでもお取り扱いしているミニコミ「畸人研究」で取材された、巨大な帽子に廃品をコラージュして町に出没する横浜寿町の畸人さんも参加するご老人たちの芸術展「快走老人録」が取りあげられていました。この近江八幡のボーダレスアートの美術館no-ma、町屋を流用した建物(野間さんのお宅だったそう)もコンテンツもまばゆいです! モンドとか因果という括りで注目されてきた表現に新たな場が!(写真、上野界隈のお店にゆくといただける“うえの”でも日曜美術館などアートの特集が)

●06.09.23  文具もDIY
 タコシェには小冊子やミニコミを作って納品してくださる方だけでなく、自作文具を納品してくださる方もいらして、我楽多倶楽部さんが週末だけのグッズ販売をするというので東十条のカフェSAYAさんに行きました。カメラをテーマに、ポジフィルムを嵌めて鑑賞できる小さなライトテーブルのようなフレームのキット(LEDが仕込んであるのです)、ノートや便箋、スタンプなど、アンティークな光学機器をモチーフにした絵柄のセンスのよいグッズがいっぱい、おまけにお手頃で、小物をお買い物しました。

●06.09.21  牛と骸骨
 丸の内を歩いていると牛があちこちに。COW PARADE 2006が開催中で、リリー・フランキー、伊藤桂司、福田繁雄、有太マン…、様々なアーティストがペイントした実物大の牛が、東京〜有楽町の路上に展示されていたのです。中でもMAYA MAXの牛は遠目には鉄をレースのように切り抜いた素材のようなのですが、近づいてみると、無数の大小の黒い髑髏で埋め尽くされていたのです。レースに近づくと髑髏というギャップが愉快でした。
 みんなが使うかわいいものよりオリジナルをと、工藤静香がジュエリーの髑髏を作るこのごろ(インタビューを見ると、スカル、蛇、蝙蝠ラインのイメージの中に白洲次郎を投入するだなんて…静香はヤンキーからおニャン子、ジャニーズとあらゆる日本文化の交差点ですね)、髑髏はメメントモーリなアイテムではなくなってきました。「オーラの泉」で、美輪明宏・江原啓之の両氏がオダギリジョーに「部屋に髑髏を飾るのはおよしなさい」と注意していましたが、骸骨を軽く見てはいけないようです。

●06.09.19  発明
 タコシェでは、Tシャツ類を店で袋に入れることがあります。私以外の店の者は慣れているせいか、さっさと畳んで袋に入れています。そこで、私は巻き返しをはかってTシャツを畳む補助具を考案しました。まず、タコシェの棚の幅にきっちり二列に並べることができる23センチ幅の袋にあわせて台紙をカット。畳んだときに模様が真ん中くるように、台紙の中央に印を付けてクリップをセット、シャツの首のタグをこれで固定して、台紙に巻き付けるように畳めば位置も大きさもピッタリ! しかも台紙ごとOP袋に一気に押し込むことができます。さらに、台紙は引き抜きやすいように上の方が斜めにカットされており、ビニールで表面をなめらかにしてあります。「Tシャツスムーザー」。
 夜、翌日のお米を研ぎながら、テレビの大相撲中継を聴いていたのですが、お米がこぼれないように注意していると相撲を見ることができないし、かといって相撲を見ているとお米が研げないしで、あああ、音声だけじゃ相撲がわからないよ…! と地団駄を踏みながら、ラジオならこんな不満もないのにい、と思いました。しかし、よく考えてみれば双葉山がすごかったというご年配たちも、実際に相撲を観るよりラジオで聴いていたことが多かったはずで、それで取り組みがわかるということは、草相撲が盛んで、みんな相撲の技に熟知していたからできたはず。解説を聞きながら取り組みを想像するのが楽しかったわけですね。ラジオの相撲中継は双葉山が入門して間もない昭和3年にはじまっているので、新しいメディア・ラジオが生んだヒーローが双葉山だったのかもしれません。
 そういう中継もネットで簡単に拾えるようになると、鉱石ラジオの小林健二さんが発明した、過去の映像や音源を受信できる神秘的な装置のように似てきます。ネット社会が進化するとある意味、神秘的、オカルティックになるのですね。たしかに、2ちゃんやYOU TUBEはある意味オカルトです。

●06.09.17  エコロジーとエコノミー
 タコシェのある中野にも自宅付近にも御神輿が出ていました。御神輿が通りすぎた道端には、ねこじゃらしなど稲科の植物が穂をつけています。どこかに、こぶなぐさはないかなぁと探しています。こぶなぐさはカリヤスとも呼ばれ、黄色の染料の元になり、その代表的なものが黄八丈ですが、あんな鮮やかな黄色が道端な草から出るのかためしてみたい…。
 野草には食べられるものも多く、私はヨモギやスギナを摘んだり、七草のうちのいくつかを(さすがに大根や蕪は無造作にはえてない)お粥にして食べたこともあります。道端にタダで食料や染料があるのに、あまり関心を払われていないのは、値段やバーコードがついてないせいでしょうか!?。LOHASには経済効果がありますが、摘み草生活には経済効果がありません。

●06.09.15  触れるアート
 林檎の輪切りを蜜で加工したお菓子を作る過程でできた貴重な副産品をおみやげでいただいたことがありますが、その青森のお菓子屋“おきな屋”さんの包装紙やパンフを手がけていることから作品を知った、鈴木正治さんの展示がギャラリーTOMで行われているので行ってみました。太平洋戦争に従軍後、青森のパン屋さんで働くなどしながら絵を描き、いわゆる画壇から離れ、一時は個展という形式からも遠ざかり、人に作品をプレゼントするというマイペースの活動を続け80才を過ぎた今も地元で創作に励むユニークな人。その作品は大きな一本の木をくり抜いて作った木の鎖だったり、素朴な形なのだけど、知恵の輪みたいなどうやって繋がっているのかな?と見入ってしまう巨大で素朴な木のおもちゃのようです。
 ここにあったカタログ「ブルーノ・ムナーリのアートとあそぼう」は、絵本ブームの中で目にすることが多くなった彼の作品の中で、ワークショップや折り畳み式の彫刻や木やフェルトの本など五感を刺激する本の枠を超えた作品を紹介したもので、大人にもアートブックやお手製本のヒントになりそうなアイデアがいっぱいです。

●06.09.14 樹氷
 何曜日だかいつも忘れてしまうけどスーパーの冷凍食品は、よく4割引きセールをやっていて、そういうとき冷凍ラズベリーを買うことにしているので「安くなってないかな〜」と夜、覗いてみると、割引はないけど霜が大サービスでした。吹き出す冷風で、冷凍食品のパッケージの周りの霜は樹氷や雪の結晶のように繊細かつキレイで、思わず手にとるとまたたくまにとけてなくなりました。以前、水を結晶にするときに「ありがとう」とか「きれい」と呼びかけると、美しい結晶ができて、罵倒すると不細工な結晶になってしまうというのを写真で見たことがあったので、「きれい!きれい!」と念じながら、夜のスーパーで観察を続けました。霜もテイクアウトできればいいのに。
 ところでトード・ボーンチェは植物についた霜からランプシェード“ガーランド”を考えたそうですが、冷凍食品の霜でなくてよかったです。

●06.09.10  革をやしなう
 私は中学・高校と女子校に通っていましたが、恋愛対象がなく異性に無頓着な学園生活は、機械の修理も大工仕事も楽器演奏まで、すべてが女子の役割で、多かれ少なかれ女子がオタクになります。オタクといってもアニメ好きというわけでなく、地面を掘り返してその中にいる微細生物の観察に明け暮れる同級生もいれば、トイレットペーパーの芯コレクターなどという強者もいて、人間放っておくと、どんな趣味を持つかわかりません。
 そんなニッチな趣味の世界を見せてくれるのが、たとえば、タモリ倶楽部やみうらじゅんさんですが、『タキモトの世界』(白夜書房/古本でお求めください…)も俺趣味にあふれていて、その中に「革好き」というのがありました。それまで漠然と“どうせ買うなら合皮や樹脂より革”と、革を選んでいた私は、この本を読んで以来、レザーマニアを自覚して、安心して「やっぱ羊革はさわり心地いいよ」と部屋で眼鏡ケースを撫でてうっとりしたり、「この革もいい色出てきたね」と鞄を眺めては頷いていたわけです。しかし、その革たちが最近、いい色やいいさわり心地を通り越して、すり切れて疲れてきたのです! 革は死んだ生き物の一部ですが、死んだ後で、手帳や鞄や靴として第二の命を与えられた生き物でもあったのですね。
 なんとかしなくちゃと焦っているとき、小ぎれいな革製品屋さんをみつけ、たまたま他にお客さんがいなかったので、お店の方に話しかけて相談してみました。親切な店員さんは「一度ついた傷は二度と元に戻せません。大事なのは普段のお手入れです。傷がつく前に油分や栄養を与えて汚れや水をはじきますし、柔軟にしておけばヒビも防げます」と、美容アドバイザーと同じようなことを言い、栄養クリームをすすめてくれました。
 石を拾ってキレイにして飾ることを、その世界では「石をやしなう」と言うそうですが、革でも何でもお手入れをしなくてはならないものはすべて「やしなう」ことが必要です。扶養家族もペットもいない私ですが、人間、生活していれば、やしなうものは増えているのでした。

●06.09.08  屋根にのぼる
 あいかわらず、路上観察の延長、あるいはレトロ建築の鑑賞用に建物案内の本が出ていて、タコシェでも少し扱っています。これは、建築に対する関心や鑑賞眼が多くの人に養われてきただけでなく、老朽化して取り壊される味わい深い建築が多いことや、その反対にバブルの遺産のようなおバカ建物が増えている事への反動であると思うのですが、そうした建築本ブームの中、いまひとつ心に火がつかないな〜と思っていたら、私は建物好きというより、屋根フェチだったのでした。
 例えば浅草寺も、正面の雷門から入るのもよいのですが、隅田川寄りの花川戸側つまり東参道からアプローチすると屋根の漸近線状の曲線が美しく、ぐっときます。
 しかし、たいてい路上からでは、屋根はよく見えません。また、建物の中に入っても床や壁や天井のように見たり触れたりはできません。加えて殆どのビルヂングには屋上はあるけど屋根はありません。ビルに屋根がついたら重々しいし空間効率が悪いような気がします。となると今後、街並から屋根は次第に減ってゆくのかもしれません。屋根いいなぁ…、危ないけれど登ってみたい! 鬼瓦やケルベウス羨ましい! 路上観察でなく屋根観察もいいかもしれません。うんと高くから、たくさんの屋根を見たいときは、鳥の目になって、こういうの。写真は賑やかな屋根、中華街の関帝廟
 元町に出て、フランスの家庭雑貨のPERIGOTのショップに行くと、こに19世紀以降のハンガーコレクションをまとめた本がありました。時代や地域による服装の変化や用途によって、あるいは材質やデザイナーによって、いろいろなハンガーがあるものです。クリーニング屋さんの針金ハンガーからブランドショップのハンガーまで。吊す部分とひっかける部分だけの単純な構造なのに、とにかくいろいろ。

●06.09.03  珍味
 マスカルポーネチーズに真っになるくらい煮たきゃら蕗を乗せて食べると、口の中でまじりあっておいしい。この組み合わせはきっとオードブルにもいけると思う。ところで、きゃら蕗のきゃら、って、何…?

●06.09.01  絵本を読む
 1才の甥は長新太さんの絵本が大好きです。ショッキングピンクやオレンジで描かれた毒々しいまでに鮮やかな色彩がお気に入りで、手にすることが多いのです。ただ、パタパタとページをめくるのが楽しいようで、自分でめくったり、人に本を渡してめくらせます。逆さまに本を渡されたときは上下前後逆さのまま逆から読んで聞かせますが、こんな意味のわからない読み方を自分ではしたことがなかったので、「一才児に新しい読み方を教えてもらった!」と秘かに感動。それにしても赤ちゃんを魅了するだなんて、長さんはすごい!と、この作家を改めて読むきっかけにもなりました。
 甥とは図書館にも一緒に行くのですが、最近、図書館は都市生活者のくらしにあわせて、駅近くに夜まで時間を延長して開館するところが増えていますが、児童室も一緒に移動してしまうのはどうかと思いました。交通量の多い知らない人が多い駅付近に小さな子供が通うのは負担が大きそうです。
 写真はイタガキノブオさんのキャラクター“ねこむし”で作られたおもちゃ。胴体がバネ状になっていて、お尻部分がぶつかったりして衝撃を受けると「びょよよよよよ〜ん」という電子音が出すのです。

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