2005. Jan.      トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA


●05.01.27  猫と桜
 イラストレーターのトレバー(・ブラウン)さんは、自作をコンピュータに取り込み、デザイン、製本まで一人で行う「マニア」シリーズをときどき発表している。タコシェの初期から納品していただいているから(初期はコピーなどだった)、シリーズも長く、そのときどきのトレバーさんのテーマにそった一連の作品を見ることができて楽しい。今度は「サクラ」がお題で、桜を背景にいまどきの女の子の姿をリアルタッチに描いている。
 そのお手製作品集「サクラ」のイラストと本をメインにしたフェアをちょうど桜の時期にタコシェで行うことになり、その打ち合わせに、トレバーさん夫妻の家にお邪魔した。
 といっても、ゆっくりしながら、そのうちの半分は、私のコートのファーに食いつきたがったり、茶菓子を狙ういたずら好きの飼い猫ロケちゃんを眺めたり触ったり(人なつこい猫を見ると自分の猫を思い出して猫と遊んでほしくなる)、三分の一くらいはトレバーさんの最近の絵を眺めたりで、全然、仕事をしてないのであった…。
 昨年の画集ではフェティッシュなテイストを盛り込んだロリポップなものでしたが、現在描いているのは、もうちょっとリアルタッチなフェティシズム。ロリちゃんたち猫を飼いはじめたこともあって、どことなくペットなフェチがあったり、また違った雰囲気です。これらが発表になるのはまだまだ先になるそうですが、一冊の画集にまとまるまで、数年をかけてコツコツ作家さんが作品を描き下ろしているのを目の当たりにして頭がさがりました。
 その前に、お手製画集「サクラ」。4月にフェアをしますので、どうぞ、よろしく!

●05.01.25  総当たり
 以前、千倉の海猫堂に遊びに行く際、私の鳥好きを知るイラストレーターの山口マオさんは、わざわざ館山のバードウォッチング向きの小さな山を教えてくれて、旅程まで組んでくださった。そのマオさんが、お知り合いの家で鳥の巣箱を模したオブジェを観て、えらく感激し、色々な作家さんが作った巣箱を展示することを思い立った。その巣箱展が3月に海猫堂で行われます。で、今回はアーティスト以外にも何か巣箱に関係ありそうな人がいったいどんな巣箱を作るものか見てみたいということで、私にもお誘いが…。クリエイティヴなもんは、ちょっと自信ないし、プロの作家さんと並んで作品を出すなんて、おこがましい、と思うけど、せっかくだから、コトリストとしてやってみようかな、とその気になってきました。クリエイティヴじゃないから、観察仲間に相談したりしながら…、自然科学の方向からアプローチするとか、なんとかして。あるいは、自分が鳥だったら、全部、食材でできていて食っちゃ寝の生活ができる巣だといいですね。
 行き当たりばったりで、ひたすら受け身で投げられた球に当たって出塁している(ときには担架で退場もする)私の人生を身近な友人が「デッドボール人生」と言いましたが、この際、投げられた球には、円盤大学でも、巣箱でも、全部、当たってみよう、てな気になってきました。

●05.01.24  大学…?
 高円寺の円盤にチラシを置きに行ったら、マスターの田口さんに、毎週月曜日に行われるレクチャー「円盤大学」で話しをしませんかと声を掛けていただいた。私も大人なので、何か一言と言われたとき、すぐに気のきいた事が言える人間になりたい、と思っているのだが、慣れない人や大勢の人の前ではうまく話せない。私は裏方向きで集客力が0なので、自分の事も心配だが、円盤、それでいいのか?と田口さんたちの事も心配になってしまう。売上げがたたないと思う。
 お店をやっていると、創作の裏側だけでなく、ときには生活やら経営の一面、感情の裏側を垣間見ることもあり、それがドラマチックだったりする。もろもろの事情をあざなって作品やイベントが完成するが、そのあたりの事、口外すまいと思うことが多々あり、そんな私の話が面白いのかどうか…。勢い、自分のずっこけ話が多くなってしまうのですが、杉田かおるを見習って、すべてを晒し、幸せを手に入れるという方法もあるのかもしれません。やらないと思うけど---。

●05.01.22  エメラルド王
 2月5日からシネセゾン渋谷で公開になる「エメラルド・カウボーイ」のイベントが開かれた鶯谷の東京キネマ倶楽部に。この映画は、70年代にコロンビアに渡り、悪党やら裏切り者とドンパチの闘いをくぐり抜けながらエメラルドの採掘や販売で成功した日本人・早田英志さんの再現ドキュメンタリーで、早田さんが5億円の私財をなげうって、自ら監督、中年以降の自身を演じているという異色の映画。コロンビアでのロケは危険なので早田さんの山や土地を使い、役者を雇うのもまた危険で高いので地元の方々の強力を得て、強盗団は実際の強盗を使い、ゲリラはかつて早田さんを襲ったゲリラの残党を使い、ハリウッドなどで使う偽の銃や弾丸が実物より高いので実弾を発射して撮ったという意味でも異色でリアルな映画である。
 でもって、その早田さんご自身が、このイベントに出演され、根本敬さんや蛭子能収さんとトークを行った。私は、物販のために出向いたのだが、あまりやることがなく、勝手に折り込みを手伝ったり(以前はこればかり連日やっていたこともあって得意)、混雑してきたので「会場への誘導をしたい」と言ったが「いいです」と言われ、なんとなく図々しくも楽屋でエメラルド王・早田さんの隣に座って、根本さんが買ってきた団子やお茶を飲み食いしていた。
 お話をしているときの早田さんは明るくいつもお腹に銃弾を巻きつけているような人には見えないが、そのお顔は風雪に晒された岩や樹木のような強さがあり、この感じ、何に近いのかな…、海外で成功して故郷に錦を飾った日本人という感じとは全然違う、と感じて思い出したのが、日本兵・横井さんや小野田さんであった。横井さんや小野田さんは、自分の中で終わらない戦争をずっと生き続けた人だったけど、早田さんは財産目当ての誘拐や殺人が横行する現在進行形のサバイバルの中で、現地に同化して闘い続ける危険な道を自ら選び生きている点でさらに強烈だと思う。
 私はタコシェで作った根本さんイラストのステッカーを早田さんに笑顔でプレゼントして、根本さんを恐縮させたり、根本さんが真摯に映画の感想を話す脇で、「エメラルドを一番買う国はどこですか?」とか「津波が来てもサバイバルできます?」などと呑気な質問を繰り出し、根本さんに人との接し方や敬意の表し方を学ばなくてはと思った。

●05.01.18  またまた森繁
 神保町の古書会館のアンダーグラウンドブックカフェに行くと、「中山さんが好きなものがありますよ。一番下の棚の左端。サイン本です」と、天使の囁き、はたまた悪魔の囁き。森繁のサイン本である。しかも、数年前に亡くなった新劇の重鎮への為書きが。自分の店で商品をオススメするときは、押し売りっぽいかな…、とちょっと気がひけることがあるが、探しているものを教えてもらったり、すすめられて、嫌な気分はしない。むしろ助かってしまう。惚れた弱みにはつけ込んでほしいもの。

●05.01.16  服を買いに
 ニブロールの「駐車禁止」という舞台を観たとき、衣裳がすごく着心地よさそうで印象に残っていたのですが、その衣裳ブランド・ニブロール アバウト ストリートのセールがあることを知り、出かけてみました。いろいろと試着させてもらいましたが、腰のあたりから不思議な手というか羽みたいなのが出ていたり、長ーいコートの裾にスリットが入っていてボタンが掛けられるようになっていたり(バイクに乗るときツナギのようになる)、服にはちょっとした遊びや工夫があって、どれも着ていてすごく楽しい気持ちになれました。残念なのは私がなんでも着こなせる体型じゃないことで、それでもセール品を何点か買ってみました。そのへんの服をなんとなく買って着るのでなく、布地から作られた服をわざわざ着るのはおこがましいような気がしますが、お洋服の自主制作みたいな感じで捉えればいいのかな、と。

●05.01.14  ほな、行きますわ
 藤本和也さんとフェアの日程やタイトルなどを電話で相談しているうちに、またしても「ほな、これから行きますわ」ときた。「寒いし、遠いから、わざわざ来なくて結構ですよ」と言っても「こういうことは直接会って話した方が早いでしょう」。こうして、いざ会ってみると、お互いに何も考えてないわけではないのだが、当意即妙な受け答えができるタイプではないので、向かいあって「う……ん」と唸ってばかりで、たいしたアイデアがでるわけじゃないんですねえ。じゃあ、わざわざ会わなくていいみたいだけど、10分遅れ、1時間遅れ、1日遅れで、ぼんやりと考えが出てきたりまとまってきて、帰宅してそれぞれ宿題みたいな形で個々に仕事をすすめることになります。
 藤本さんが考えたタイトルは「こんにちは、藤本和也です。」。軽いはじめてのご挨拶、あるいは、ちょっとご無沙汰していた知り合いへのご挨拶といったかんじ? いいと思います。これを受けて、私が固めたコンセプトは藤本和也のプレゼン! 新作に限らず、これまでの藤本さんの漫画の仕事はもちろん、イラスト仕事、写真やオブジェ、チラシや広告関係など、完全ではないけど、ザーと皆さんに広くご覧いただけたらな、と思います。思いつきで、あるいは注文に応じてなんでも描いてまっせー。以前に作ったコピーのイラスト集も自らまたコピーして作ってくれるようです。これは圧巻。私も藤本さんからいただいて、フェアをさせてほしくなったすてきな作品集ですから。

●05.01.13  日本/現在
 1年かけて作られた宮沢章夫と遊園地再生事業団の本公演「トーキョー/不在/ハムレット」を観に、世田谷パブリックシアターへ。これは、タイトル通り、ハムレットを下敷きにした芝居なのだが、舞台を埼玉の北川辺という町に移し、ハムレットに対応する牟礼秋人(ハムレット+明仁)は登場しないというハムレット変奏曲である。田畑が目立つ地方の町なのだけど、東京に通勤しようと思えばできなくもなく、気の利いた店はないけどコンビニはちゃんとあるというような土地で、次々と血なまぐさい事故や事件がおこる…。
 1年の間に、この物語を核に、宮沢さんはこれを小説として発表したり、サイドストーリーを短編映画にして上映したり、実験公演などを行ってきた。そうして漕ぎ着けた本番は上演時間2時間40分という大作になっていたが、私は小説を読んだりしてその筋を知っていたせいか、複雑な人間関係や因果関係を追うことに気をとられずに、役者の動きや映像に集中できて、全く時間の長さを感じることはなかった。
 でもって、その2時間40分の中に、現在/日本の表現の可能性を感じた。コンピュータ、自動車、携帯、コンビニ、いろいろなものによって個々の身体機能が拡張されている現在、宮沢さんはwebを使って準備の過程を公開し、そこに寄せられる意見や感想に耳を傾け、秋葉で機材を買い込み出演者をスタッフに映像と作り編集も行い、それらをすべて舞台にミックスしてゆく…。なんというか、いろいろなメディアを合わせた表現はほかにもたくさんあって、それらは足し算だったりかけ算だったりするけれど、今回のはすべて宮沢さんというフィルターによって通分された表現のようなところが面白かった。
 23日まで上演されているので、お時間ある方ぜひご覧ください。

●05.01.07  日本の夏---、って季節じゃないけれど
 これまで商業ベースの単行本を出したことはないけれど、餅屋ブックさんという個人運営のレーベルから出した本や同人誌などに寄稿した作品で、漫画通や編集者、アーティストらの間に圧倒的ファンが多い、藤本和也さんが、ついに、というか、やっと出版社(宙出版)から本を出します。そのタイトルは「日本の夏、天狗の夏」。発売は1月末の予定。
「真冬に日本の夏…?」と首を傾げると当の藤本さんは「はい」。畳みかけるように「でもって天狗…??」と訊けば、「はい、表紙は天狗の面が全面に出ます」。
「赤かなんかでカーッと派手に?」
「いえ、オレンジでぼや〜、とした感じで」
「えっ、ぼや〜、でいいの?」
「…すでに3歩くらい出遅れた感じでしょうか…。でも、これで、天狗で行きます(きっぱり)」
ぼや〜としているんだか、懐が深いんだか、男らしいんだか、さっぱりわからない藤本さんである。しかし、そこが藤本さんの作品にも通じる、妙味。かねてから、「今度本を出すときは、何かさせてください」とお願いし続けて、この機に、快諾を得てフェアの運びとなりました。
 でもって、詳細を決めるべく、藤本さんに連絡をとりたいとメールを送っても、電話やメールが来ないなぁと思っていた矢先、「お目にかかって話そうと思いまして」と現れたりして、のんびりなんだかアクティヴなんだかもわからない。(電話がない時代の人みたいですね)そんな妙な面白い人と作品です。
「本当にイベントなんて、してしまっていいんでしょうか…」といいながら、「何か大きい絵を描こうかな」とか「何でもやります!」と、密かに意欲的、はじめてのことにちょっと心躍らせている様子の藤本さん。
 まだ藤本和也さんを読んだことない人、この機会、この機会にゼッタイ読んでみてください! 今読んでおかないと、そのうち「え、藤本和也を知らないの?」って言われるようになっちゃいますよ。たぶん、いや、きっと。

●05.01.05  本がやってくる
 以前、問い合わせていた森繁本を、知り合いの古本屋さんがタコシェまで届けに来てくださった。配達業務をしてるわけでもないのに、中野に出ることもあるからと、わざわざ。欲しいものを、運搬会社の人でなく、売り手が直接届けてくれるって、すっごく嬉しいものですね…。ちょっと時期遅れのサンタさんみたい。その場で店員にも見せびらかして騒ぐ(別に羨ましがられたりはしない)。周囲の古本好きやコレクターを見ながら、古本屋さんにwantリストを伝えたら、病、膏肓に入り…だなと思っていたけれど、ついに私もやってしまった。でも、欲しいものが手に入って嬉しい。

●05.01.04  ショッピングカート
 ショッピングカートといえば、以前、スーパーで買い物をして支払いを済ませた後、レジで貰った手提げ袋に品物を詰め替えずに、買い物カゴのまま家路についてしまい、途中の踏切で電車が通り過ぎるのを待っている最中に何か様子の違うことに気づき、ほかにも踏切待ちをしている人が何人かいたのでとても恥ずかしかったし、もしかして痴呆症になってしまったのかもと不安にもなったが、そのようにうっかり持って帰る心配のないショッピングカートが、手助けをいただいてタコシェのホームページでも使えるようになったのです。といっても、これからコンテンツを用意しないとならないのですが、もうちょっとしたら、自動的に計算をしてメールを送ったりもできるような、そういうお買い物システムがご利用可能となります。

●05.01.03  ワックス
 年末の大掃除にさらに磨きをかけるべく、ワックス重ね塗りのために出勤。ワックスで床を保護してさらにツヤを出すのだ。シャッターを半開きにしていると、休暇の貼り紙をして入り口をワゴンで塞いでおいても、お客様が入っていらっしゃる。ご来店はありがたいがワックスがけはちと難航する。お店をやっていると不思議に思う。なぜ、開店準備や閉店の片付けでシャッターを半分下ろしていてもお客様は入ってみえるのか。あるいは、カウンターの上に納品処理中の本などを置いておくと、お支払いのお金をトレイや台の上にではなく、ちょっと高まった売り物の本の上に置かれるのだろうか…。お金は大切なものだから、高い位置に置こうとしてしまうのだろうか? そんなことを疑問に思うようになってから、よそでお金を払うとき、置き場はどこかな?って気にするようになった。

●05.01.01  コトリスト
 早起きして、自転車でそろそろと積雪が凍る道を走り、いつもの公園へゆく。天気がよければ、そこの溜め池にかかる橋の上から御来光と富士山を見ることができるのだが、今年は薄曇りで日の出や富士山は拝めず。といっても目的はそれだけでなく、初バードウォッチング。雪の上を足指の冷えに耐えながら歩いて、エナガ、シジュウカラ、コゲラ、モズ、カワラヒワ、マガモ、ヨシガモ、カワセミなどなどを見る。
 なんで鳥を見るのが面白いかは説明するのが難しい。でも、鳥を見にゆくと毎回新しい発見がある。たとえば、夕暮れの溜め池、私以外、人はいないのに、不気味にもおやじくさい「うぇへへへへ」という笑い声が近くから聞こえてくる、はて…???と眺めれば、カルガモ。「あなた、そんな下品な鳴き声だった?」と思わず我が耳と目を疑ってしまう。今年はコトリストとしても活動をする予定。(写真はいつもの溜め池、元旦の朝の景色)


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