2004. Dec.      トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA


●04.12.31  大掃除
 30日でタコシェの2004年の営業はおしまい。30日も休日なみにお客様にいらしていただき、根本敬さんの展示の最終日とも重なって、年末、最後の最後までありがとうございました!! 皆様のおかげで年を越せます。31日はひとり、お店に出て掃除。
 箒と掃除機で埃をとってから、洗剤とたわしで床の汚れを擦り、ぬれ雑巾で拭いて、一年の汚れを取ります。そして床が乾くのを待ってワックスがけ。年中無休で営業しているので、床掃除とワックスがけはこういうときでないとなかなかできません。加えてガラス磨きとシャッターの汚れの拭き取り。一人で夜まで掃除ですが、汚れた分だけお客様が足を運んでくだっさったことと思い、感謝を込めて床磨き。平穏にお掃除できるのも皆様のおかげです…。というわけで大晦日の一人掃除も嫌じゃありません。
 タコシェは途中から松沢呉一と二人で運営することになり、二人とも気楽な身の上であるため、盆暮れ関係なく働き、店に寝泊まりすることもあり、私はいまもってそうした身の上でございますが、店員たちはちょっと事情が変わってきたため、私と同じように考えてはいけないようにも思えてきました。年末年始のお休みにも配慮が必要かな…と感じつつ、その場合はそれに見合ったお客様へのサービスも考えなくちゃ、などと一人掃除しながら考えるのでありました。何はともあれ、一年のお店の垢を落として、稲や松でお飾りを創作してお正月の準備。

●04.12.28  MONDO BIZZARRO
 ローマのギャラリーMONDO BIZZARROのアレックスさん御夫妻が見えて、タコシェの商品と彼らの商品を交換する。展示している作品はモンドだったり、オルタナティブなのだけど、何度かメールのやりとりをしていたこともあって、アレックスさんはフレンドリーでお土産をくださった。

●04.12.26  一日遅れのクリスマス
 忘年会にも誘われない、誕生日も祝われない、クリスマスも関係ないという寂しい身の上なので、行事の際には旧知の人の家に押し掛け無理矢理祝っていただく昨今。家にある日本酒、ワインを鞄に詰め込み、銀座の街を泳ぐように歩きまわり生ハムやらスモークサーモンを買い込んで友人の家に出かける。
 そこで私は、女に生まれたからにはバーのママやキャバレーのホステスといったフェロモンをまき散らす商売の女になりたい、と子供の頃からの夢を語ってみたが、誰も「できるよ」とは言ってくれなかった…。
 幼い頃、父の仕事の関係で家には肉体労働のおじさんやあんちゃんたちが出入りしており、オイル交換などしているトラックの助手席に勝手にあがりこんで運転手のお兄ちゃんにもたれかかりながら、エログラビアをうっとり眺めていると、お兄ちゃんはふと我に返り「子供は見るなよ」と注意するので、「いいじゃない」とエロ本を引き寄せて二人で取り合いになり、結局力負けして取りあげられちゃうんだけど、腹立ち紛れにガラスクリンビューを噴射して、さらに叱られんがら、「ふふふ、私もそのうち、その本のお姉さんたちにみたいなエロい女になるんだから…。そうなったときにはもう手が届かないかもよ、ほほほ」と妄想していたものの、予想に反して、私はセクシーダイナマイトとは真逆の、お色気の分泌が少ない女に成長していた。しかし、当時の妄想と願望は消えることなくくすぶり続け、セクシーな商売への密かな憧れは膨らみ、ついにカムアウト。
 いまもってお色気は足りませんが、これから努力すれば、50才にしては若いんじゃない、とか60才にしてはきれじゃない、ということになって80才くらいで「80にしては色っぽいよ」と認められ、セクシーデビューができるかもしれません。誰も80才でデビューするホステスやママさんに文句は言えません。そして100才くらいまでママをやり続けます。
 一日遅れのクリスマス夢。その夢に向かって羽ばたくべくこれから女を磨きます。

●04.12.25  クリスマス
 クリスマスだけど、年末までの展覧会などを観てみわる。吉祥寺のにじ画廊さんに本秀康さんのイラスト展を観たり、トムズボックスで長新太さんのお花を絵を見たり。本さんの展覧会はBGMも凝っていて、目と耳で楽しむ展示でした!

●04.12.24  クリスマスイブ
 クリスマスイブの夜はいつもよりお客様は少なめ。クリスマスイブらしい催しなりサービスをした方がよいのか…? それでも、気持ちは聖らかにお客様をお迎えいたします…。

●04.12.18  根本敬店長登場
 根本敬さん半日店長デー。当初、根本さんが希望していたお掃除パフォーマンスをする暇がないくらいたくさんの方にいらしていただき、ありがとうございました。サインをお入れしたりお話したりで手一杯で、店長らしいプレイといえば、売約商品のひき替え票を受け取らずにお帰りのお客様がいらしたときに、「そうだ、俺、店長だった」と、追いかけてお渡しした事でしょうか…。30分ほど遅刻したり、「鉄火場というくらいだからね」と鉄火巻きを食べながらサインしたり、作品同様カオスな空気が根本さんを包む熱気ああふれる店長デーでした。

●04.12.17  働く袋
 夏に発見した脇の下のシコリの経過検査(結局、リンパ節がもともと大きかったという結果に…)に築地の病院で検査を受けたついでに銀座にふらふらと出て、山名文夫の展覧会や月光荘でのみつばちトートさんの働く袋展を見て、大きめトートを買う。働く袋展で袋を買って、自分も働こうという気持ちになる。

●04.12.16  林月光、aka豪人先生
 石原豪人先生は、林月光の別名でさぶなどにゲイ向けのグラビアや挿絵を長年描いたり、JUNEには少年愛系の絵も発表、SM誌には縛りの絵などを掲載してらした。先生の回顧展は夏に弥生美術館で開催されたが、とにかく70代になっても第一線で描き続けた職人肌の作家だったから作品数が膨大で回顧展に出た作品群も膨大な仕事のごく一部。特に林月光のお名前での作品は僅かであった。
 長年の先生への思いに加えて、色々な方々との出会い・ご好意を得て、またご家族のご理解あって、来春、月光先生の展示をタコシェで行えることになり、作品を拝見しに、建築を趣味とされた豪人先生が設計されたお宅に伺った。一日拝見しても、観ることができたのはごくごく一部。久々にタコシェで唯一の同僚?、松沢呉一も一緒に出向いたのだが、松沢も私もどうも人間が単純な部類のせいか、展示用の候補に選んだ絵は、濃厚な絡みものというより、アッケラカンとしたお笑いの入ったものが多くなったように思う…。おいとましてからも、まぶたに焼き付いた、ユーモラスなエロ絵を思い出して一人笑いする日々。
 膨大な作品とそのバラエティから、豪人先生の作品だけで、挿絵のクロニクル、風俗の変遷が浮かび上がってきて、歴史と偉業を感じた。

●04.12.10  実家<刑務所
 稲川方人監督による、画家・福山知佐子さんのドキュメンタリー映画「たった8秒のこの世に、花を」&展覧会を観に、近所の中野ゼロホールへ。福山さんは金銀の箔を敷いた上に岩絵の具で描く日本画的な方法に、さらに薬品を使って金銀箔を腐蝕させたり、金属で表面に傷をつけるといった技法を使いながら、朽ちた草花をモチーフにした絵を多数描いている。大きな病を得て日々体の不具合や苦痛と闘いながら、完全にミイラ状になってこれ以上朽ちて縮んむことはなくなるまでに3年ほどかかるという枯れた草花の死へ漸近する運動の軌跡を刻みつけるように描き続け、さらに彼女が愛した祖母や作家など故人に捧げた作品も多く、死によって創作という生のエネルギーが横溢する様が伝わってきた。
 映画には彼女が交流したり影響を受けた作家たちも登場する。漫画家の花輪和一さん、宮西計三氏さんも出てきて、この日は上映にあわせて福山さん、花輪和一さんがトークを行った。
 生まれ育った実家を「サイッテイ!」と言い、それに比べたら刑務所は実に過ごしやすく、「俺も刑務所に生まれ育っていればよかった」と語る花輪さん。善悪の彼岸からの発言がとても面白かった。

●04.12.09  銀座
 クリスマスに色づく銀座へ行き、オープンしたばかりのシャネルを見物したり(本当にただ観るだけ)、沖縄の品物を売っているわしたショップに行き沖縄ロックの雄・コンディショングリーンのCDの在庫を調べてもらってから、スパンアートギャラリーに宇野亜喜良さんの展示を観にゆく。先日発売された絵本「白猫亭」の原画を中心とした展示で、本そのものもすてきなのだけど、本が観音開きの扉を開いたり、流れの中にひとつのお話が入れ子のように入って立体的なのに対して、本よりずっと大きな原画が並ぶ様はパノラマなかんじで紙芝居を観てるような違った流れと迫力とがありました。タコシェでも本の発売に合わせたフェアを行うけど、こうして本と原画を見比べる趣向は楽しい。
 そう、この前まで行っていた早見純先生の原画でも、本では裁ち落としになって見えない周辺部分を四辺とも5センチくらいの幅で細密に描き込んでいて、早見先生のホンモノぶりを改めて感じました。

●04.12.08  犯罪から世界の中心まで
 根本さんのフェアと同じ時期に、特殊翻訳家・柳下毅一郎さんの「犯罪の書棚」なる小さなコーナーも設置の予定。柳下さんは猟奇・殺人に関する文献を調べるのが趣味であり仕事であったりするが、今回その手の本を多く揃えるというよりは、小さな空間で柳下流の読み方をちょっとご覧いただくという感じになりそうです。先日も柳下宅に伺い少し本を預かって来たのだが、その後、ご本人がタコシェにみえて「選ばずに置いてったけど、これも是非入れてほしい」とセカチューなどを差し出すのであった。主人公の朔が彼女のブラジャーに嫉妬しているとコクるなど、愛のセリフに笑いを禁じ得ないというのがその理由。また、音声解説といいながら映画本編と全く関係ないことを喋るまくる中原昌也氏のトークを収録したDVD作品三作を挙げ、中原昌也音声解説三部作とするなど、選ばれた作品は犯罪に関係なかったりもして、一見「??????????」になりそうですが、そういうわけで、それなりの理由がありますので、柳下さんの妙味をお楽しみください。

●04.12.05  もうすぐ
 約1年をかけて、リーディング公演、実験公演、上映会などを重ね、丹念に寄り道、回り道をしてきた遊園地再生事業団の芝居がついに来月早々、本公演を迎える。観客の中にはすべての公演に立ち会った人もいるし、スタッフも上演の形態に合わせてそのつど様々な人々が合流する。たくさんの人、様々なアイデアが一年かけてどんどん水かさを増しながら、いよいよ大海へと出る!みたいなワクワク、今から感じてます。はやく本番が観たいけど、この大きなプロジェクトが終わってしまうのは寂しいくらいなのでもっと長く続いてほしいような、ってとても複雑な気持ち。
 本公演ではダンス集団ニブロールの振付家・矢内原さんも加わり、ダンサーとは勝手が違う俳優たちに動きをつけるなど、さらに多くの要素が加わる。
 登山でも頂上に近づくほどたいへんになるが、1年近く準備を続け、公演を1ヶ月前に控えた今がまさに稽古の佳境。
 美術予算が足りない! 宮沢さんの原稿仕事が切羽詰まって稽古に出ることができない、などなど日々困難にぶつかりながら、出来上がったプランを破棄してアイデア練りなおしたり、演出家不在を自主稽古やダンスの稽古でカバーしたりと、役者やスタッフは懸命に荒波を乗り越え、本公演を目指してる模様。そんな、たいへんだけどドラマチックな日々は宮沢さんの日記(これも広い意味で公演の一部)に克明に記録されており、それを読みつつ、私の期待はさらにさらに高まるのであった。
 とにかく、これはお芝居そのものだけでなく、お芝居を作る方法そのものを問い直す、志の高い試みだと思うので、たくさんの人に観て立ち会ってもらいたいと思う。

●04.12.03  牛乳箱
 またしても会期終了間近、小沢剛さんの展示を観に、六本木ヒルズに行く。世界各地にお地蔵様を建立してみたり、参加者と相談して作品を作ったり、八犬伝か戦隊モノみたいに岡本一太郎から八太郎のコラボを一人で構成したり、布団やおざぶが敷き詰められた会場と、ピースフルな小沢さんの作品はどれも大好きだ。で、牛乳箱を使った小さな画廊、なすび画廊も展示されていたのだが、過去の主なものが殆ど展示されていて、いつもは小さなひとつの箱として観ていたのが、会場のあちこちに展示されていて、たぶん美術館は世界で一番、牛乳箱が密集している地点になっていたのではなかろうか。ふつう画廊は一つで中身が変わってゆくけど、なすび画廊は画廊ごと作家に与えられて展示の数だけ画廊自体が増殖していたのだった…。知らない間に海外の作家さんもたくさん参加していて、よくこんなに牛乳箱を集めたなぁ、なんてヘンなことにとても感心してしまった。


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