|
- ●04.09.29 たまに読書感想〜熟女の旅
- 松沢呉一が最近、自身の日記ページの中で、これまでの著作を一通り解説しており、その中でもっとも気に入っている自著として「熟女の旅」を挙げていた。なにげなく殆ど目を通している松沢本の中で、実は私もこの本が一番好きである。
- 女子高生などには見向きもせず、子供と連れだって歩く女性を見入っている編集者に疑問を抱いた松沢は、彼の女の趣味を探るうちにいわゆる熟女マニアであることを知る。その嗜好に興味を持ち、熟女マニアを観察するうちに、松沢もしっとりとした大人の落ち着きや色気を持つ熟女に開眼し、熟女風俗に通い出したり取材を行い、急速にこのジャンルにのめり込んでゆく…。しかし、熟女の道を極めようとすればするほど、熟成度が進み、にわか熟女マニア松沢には歯がたたないような熟れすぎた熟女が登場…腰砕けとなり、熟女に狂った日々がウソのように過去のものになってゆく…。
- コラムや連載をまとめたエッセイ集と違って、これは完全な書き下ろしで、松沢がふとしたきっかけで熟女に目覚めすごい勢いでのめり込みながらシュルシュルと興味を失ってゆくジェットコースターのような大きなうねりを追体験できるのが面白く、かなりの文字量だが一気に読めてしまう。
- 物事にすぐに夢中になる松沢は、何かを調べたり発見すると、嬉々として人に話したり、以前だったらミニコミにすぐさま執筆したり、あてもない原稿を書く。やがて、そうしたものが人の目にとまったり噂となって、原稿仕事に結びつくこともあるのだが、その頃には発見時の新鮮な気持ちがやや薄れていたり、原稿の文字量などに合わせて膨大な記憶の一部を取り出したダイジェストになっていたりすることがあるように思える。
- しかし、書き下ろしの「熟女の旅」はマイブームの盛り上がり期と執筆の際のタイムラグも少なく、筆の勢いに任せた松沢の昂揚が強く伝わってくる。きかっけがあり、いろいろなことを発見しながら盛り上がり収束してゆく大河ルポルタージュの醍醐味がある。便利な風俗情報コラムと違って、未知の扉をどんどん開いてゆくワクワク、風俗というフィールドでの冒険やチャレンジそのものが、熟女や風俗の楽しさだけでなく取材や書くことの楽しさが合わせて響いてくる。
- 表紙の和服女性のイラストが地味、中もあずき色のインクでしっとりしていて見た目おとなしい印象の本ですが、とっても松沢「らしい」本だと思うので、熟女や風俗に興味のない方にもおすすめできます。
|