2004. June      トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA


●04.06.29  いろいろなフェアやイベント進行中
 8月以降のイベントについていろいろと詰めているこのごろ。今日は、タコシェでも日頃からすてきな銅版画や豆本を置いていただいている鳩山郁子さんの新刊発売に合わせたフェア(8月下旬か9月上旬)が決定。版がやグッズのほか、鳩山さんが好んでモチーフにするすてきな小物や雑貨類、フェア特製グッズなどご用意しよう…など最初にアイデアを出す。ほかにも川崎タカオさんの初コミック記念フェアやまだまだ懸案の物件など。ほかに、太田螢一さんがトークイベントを行いたいとのことで、夏にタコシェの近くの別の場所でイベントを行う企画などをすすめております。

●04.06.27  片付けられない女
 店員の中沢から風水的に「いらないものを置いておくのは、死体を置いておくのと同じ」だと教えられ、我が身を思えば、私はまさに片付けられない女、死体に囲まれた女であると思いあたった。自室の壁面に本棚を置き、その棚には前後二段に本を入れ、それでも足りずに、段ボールに本を入れ本棚の前に二重に積み重ねているので、空いている床面積は少ない。そこで、ついに本を減らすことを決意。段ボールを開ければ、出てくる出てくる駄本が…。特にタレント本や伝記は一期一会だと思ってついつい買わずにいられない。手元にすぐあるタイトルだけでも例えば、安藤昇「あげまん入門」、花登筺「私の裏切り裏切られ史」、「カータンのなみだ 声優伝・大竹宏」、猿まわしの村崎太郎のエッセイ、「強いばかりが男じゃないと いつか教えてくれたひと」(シミキン伝)、宮城まり子「ともだち、ねむの木、そして私」、渡哲也「俺」、「横山やすし」、吉田拓郎「気ままな絵日記」…。この本の量の割合で考えると私の大脳の25%くらいは芸能関係か。

●04.06.23 一人打ち上げ
 森雅之さんの展示終了。今回、森さんとのいろいろなやりとりはファックス、手紙、電話で行い、メールは使わなかったので、まさに森さんの単行本「追伸」と同様、札幌・東京間を手紙が行き交ったことになる。最終日の夜、無事終了の報告のファックスをお送りしたら、いつもの手書きの手紙がファックスで送られてきた。次回の展覧会の準備で忙しい森さんだが、今晩はそろそろ作業を終えよう、と。お互いビールでも飲んで一人打ち上げをしましょう、という内容。そんなわけで滅多にビールを飲まない私ですが、缶ビールを一本買って帰りました。
  グッズ類、人気で、せっかくおいでいただいったのに、在庫がなく、がっかりされたお客様も多くいらしたことと思います。次回はもっと準備期間をとってたくさんご用意するようにします。

●04.06.21 書店はかわる
 BRUTUSの7/1号で「さあ、ブックハンティングの季節です! 本好き50人、400冊の旅!」が特集されたり、BOOKISHの最新7号でも「書店の記憶」が特集だったり、出版や書店の不況が自明のことでありながら、本や書店をめぐる本は目につく。私が参加させていただいた池袋コミュニティカレッジの「本屋さんの仕事」でも、受講者は定員に達して盛況だし、本屋さんはメガストア化と独立系書店の二極化の中で大きな転機を迎えている。インテリア関係の本などは書店よりむしろ雑貨屋さんで売れたり、本だけ置いているところが本屋さんなのでなく、その形態自体が大きく変わってきた。こうした特集の雑誌を見ていると、自分に何ができるのか…、未来の本屋さんは…などなど課題が投げかけられているようで、楽しい反面、考えさせられてしまう。

●04.06.19 70年代の男の世界
 ロック画報の最新号の特集がザ・フォーク・クルセダーズだったこともあり、たまたま北山修の著作を見直していたら6月19日がお誕生日であることに気づいた。
 80年代のコラムブーム以降の文体に慣れ親しんできた私にとって、70年代のエッセイや評論の本気ぶりにはゆるんだ褌をひきしめさせられる気分になる。世界の中心で愛をさけべなくても、なぜか北山修作詞の「あの素晴らしい愛をもう一度」は歌ってしまうし、人生相談の中では乱暴された女性の話に「許せない」と憤る様子に、人生相談はサムに…と思う。もしかして、背負っていた愛や平和や戦争、青春などなどの問題そのものの重みが違っていたのかも。なにしろ大学生でミリオンヒットをとばしながら「悲しくて悲しくてやりきれない」と歌っていたくらいですから。
 昭和ブームだが、70年代のこうした文体や作風ももっと注目されればよいと思う。
 ほかにも、オレを語り、意識の深みに降下しながら、暗闇に対象と自身の座標を探り続け、夭逝した音楽評論家・間章もまた今読み返したい作家で、タコシェでも「非時と廃墟そして鏡」という72年から79年にかけてのライナーノーツ集をお取り扱いしてます。

●04.06.18 路地をゆく
 墨田区役所の中のリバーサイドホール・ギャラリーに「小山田徹:しあわせのしわよせ展 漫画家・滝田ゆうの視線とのコラボレーション」を観にゆく。会場は黒い板塀が張り巡らされており、その節穴をのぞき込むと滝田ゆうが描いたマンガの中から選ばれた寺島町の景色が貼ってある。自然の節目を利用した小さな穴からは絵の全体を観ることができず、板塀に顔をくっつけて目をこらして、嘗めるように眺める(何人もの人がこの板塀に顔をこすりつけるようにしてきたのかしら…と思うと妙な気分)。穴の場所もしゃがんだよりももっと低い位置にあったり思い切り背伸びをして覗く位置にあったりで、“よっこらしょ”って感じでかがんで路地の景色を覗いてみると、小さな子供の目線に戻るような。べー独楽で遊んだとき、まわる独楽に顔を近づけて、独楽越しに景色を見ていたこと、蝋石で地面に落書きしたりケンケンパーの丸など描いたこと、その時の低い視点が甦ってきて、塀の向こうの絵がことさら懐かしく近いものに思えた。高い位置から覗くときは逆に建物の二階から町を眺めているようで住人気分。眺めるという行為自体が作品を作る体験だった。

●04.06.17 世界の中心、って…
 世間では『世界の中心で、愛をさけぶ』が売れて、映画も人気であるらしい。私は、なんとなく買うには題が恥ずかしいやら、“泣ける”というふれこみに手を出せずにいたので、店のものに「ねぇ、『世界の中心で、愛をさけぶ』って、読んだ? 世界の中心ってどこ? もしかして駅でいちゃついているカップルにとって改札口の脇が世界の中心であるような、そういう意味?」などと訊いてみたが、店のものたちも読んでいなかった。世の中では数百万人の人が読んでいるというのに。
 さらに、『世界の中心で、愛をさけぶ』を特集した雑誌の営業の方がみえて、この特集が非常に好評だとおっしゃっていたが、タコシェの場合を調べてみたら、ほかの特集では何十部か動いているのに、これは動いてなかった。
 タコシェにみえるお客様は「世界の中心で、愛をさけぶ」必要のない方が多いのだろうか? 
 いずれにせよ、私は世界の中心からだいぶ遠くにいるようである。

●04.06.16 特典
 日頃、御世話になっているデザイナーの秘密博士が演歌歌手として(!)「ポマードとグラサン」というCDでデビューした。辰っちゃんが歌っていた「シンボルロック」、藤本卓也の「まぼろしのブルース」、クール・ファイブの名曲「そして、神戸」などを、ロックなバンド演奏にのって、博士が気持ちよくどぎつく熱唱しているという内容で、ある意味オマージュ、ある意味・評論、ある意味・趣味の一枚である。
 しばらく前に「何か特典をつけて」とお願いしたところ、大型店用に豪華特典の用意で忙しかった博士は「う〜ん、何がいいかしらねぇ、考えておくわ」と答えたきり、準備できずにデビュー当日を迎えてしまった。CDの中では、“遅れとったら、遅れとったら 命とり〜”と「昇り龍」を絶唱しているのが私には虚しく響く。
 普通は発売前に特典を決定し、お店でご購入いただけるよう宣伝するものだと思うが、何が特典になるのか、いつ特典ができるのかわからないという理由で、私は特典がつくことを大きな声では言えずについにこの日を迎えたのであった…。全く特典として機能しない特典。
 博士からは早朝メールが送られていた。特典はいまだに決まっていないが、必ずや作って後からお送りするなりお渡しするので、お客様さえ差し支えなければご連絡先をお伺いしておいてほしいというものであった。デビューの朝は一人パニック状態。 
 というわけで、いまだに謎の特典Xですが、時間をかけて?作っておりますので、「ポマードとグラサン」よろしく…。

●04.06.14 寺島町界隈…
 タコシェにいらして下さったお客様のご紹介で、漫画家・滝田ゆうさんの奥様・朝子さんにお目にかかった。奥様の手元には滝田さんのイラストを使った葉書や手拭いなどがあり、それらを見せていただいたのだが、染色や印刷などが凝っているのにお安いので、そのことを伺うと、奥様としては少しでも作品が人々の目に触れて、若い人にも知ってもらえればよいので…ということであった。葉書には、今はほとんど消えてしまったけど、ちょっと前には確かにあった私にとっても懐かしい風景にあふれていた。
 奥様から、おりしも、浅草で「小山田徹:しあわせのしわよせ展 漫画家・滝田ゆうの視線とのコラボレーション」開催中であることを教えていただいた。これは単なる滝田作品の展示ではなく、小山田さんによって作りこまれたセットの中で滝田さんの作品を見る変わった趣向の展覧会だそう。小山田さんといえばダムタイプで美術などを担当してきた方で、特にS/Nは私も大好きな舞台作品だったが、クールなアートで世界ツアーをしてきた人が、中学生の頃から滝田ゆうさんの描くどぶ板や板塀が巡らされた下町世界に魅せられていたとは! 数年前にも滝田さんの作品を文庫化した、うんと年下の編集者にその魅力を改めて教えてもらったが、この機会にまた滝田ワールドを再発見したいと思う。

●04.06.11 科学以前の発明
 「ぼくらの鉱石ラジオ」などの著書を持つ小林健二さんの、鉱石ラジオキットなどを制作している銀河通信社さんに、ラジオや赤や青の結晶育成キットの見本を見せていただいた。鉱石ラジオ好きということは、理科好きってことなのかな?賢治系?と私は勝手に小林さんのことを思っていたが、少し前に鴨沢祐仁さんから小林さんのことを伺うと、小林さんはむか〜しの放送を傍受することができるラジオなども作ってるとかで、その昔、科学と魔術と芸術が分化してない時代の発明家みたい…と思って、いよいよ興味を持ち、タコシェでもキットをお取り扱いさせていただきたく思い、ご担当の西山さんに見本を見せていただいたのであった。ひとつひとつ中身をあけて丁寧に部品や完成品を眺め、さらに小林さん自身が装丁を手がけた本を見て、すごく様々なものへの造詣の深さを感じ、ますますつのる興味。シンプルな詩集ひとつとっても、いまでは珍しい活版を使い、本ののどの部分が完全に開くように特殊な製本をし…と細部への拘りが半端でない。
そんな品物が届くのが待ち遠しい。

●04.06.06 雨にうたれる絵を眺めながら…
 都心の公園の中のブルーテント村に小川てつオ君を訪ねる。小川君は一年くらい前からこの村で暮らしている。ちょうど梅雨入りで、小川君の青空カフェ、「エノアール」(絵のあるカフェ、から命名)も紙に描いた絵は取り込まれて展示作品は少なかったが、ブルーシートの天幕の下でお茶をご馳走になりながら、雨に濡れた絵を眺め、テント村での生活についていろいろと聞く。植わっている木を使って生きた家を作っている住人がいることやら、昔看板などを描く仕事をしていた人がエノアールができて再び絵筆をとり見事な作品を描いたこと、家も独自のノウハウで二日くらいで建築できてしまうこと、花見の後でブルーシートが大量に捨てられることから建築資材としてブルーシートが多用されることなどなど。途中から女性住人も加わり、女性が村で一人で生きる知恵について伺った。犬を飼う、全住人と敵対関係を作り人を寄せ付けないオーラを出すなど、それぞれに処世術があるらしい。自生している野いちごで作ったジャムも味見させていただいた。エコライフ、ほんもののスローライフといったかんじ。
 帰りに5月にオープンした青山の旅の専門書店Book246に立ち寄る。

●04.06.05 森雅之原画展初日
 森雅之さんの原画展初日。森さんの作品は、少年・少女の日々のちょっとしたときめきを大切にガラス瓶に封じ込んだみたいなさわやかさだが、森さんご本人も作品の印象と変わらない方で、自ら手描きのイラストを使った缶バッヂを作ってくださったり、細やかに対応していただいた。
 長万部の観光ガイドでA4判オールカラーという立派な体裁のコミック「オ・シャマンペ」が長万部の役場で作られているのだが、それも森さんが手がけてらして、展示のために取り寄せようとしたころ、もう在庫がないとのことで分けていただくことは出来なかったのだが、役場の方のご厚意で、私物を期間中に貸していただけることになった。
 今回はそんな暖かなご厚意や協力をたくさん実感しながら初日を迎えたわけですが、そんな雰囲気がお客様にもまた少しでも伝われば…と思います。
前夜、店内を片づけきれずに初日のお客様には窮屈な思いやお見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございません。

●04.06.03 切り取る展覧会
 京橋のギャラリーask?でしりあがり寿さんの個展を観る。空間全体が障子紙みたいな紙で覆われていて、そこにしりあがりさんが何日もかけて天上天下、小宇宙を描きつくし、お客さんは何パターンかある枠を使って自由に絵を切り取って購入できるという仕組み。ついつい自分ならどこを切り取るかと宝探しみたいに観てしまい、一区画購入。


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