2004. May      トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA


●04.05.22 本屋さんの話を聞く
 小川てつオ君が芝居をするというので江古田のプログレ喫茶カフェ・フライング・ティポットへ。料金が500円なのにホットケーキつきというのにつられて喜んでゆく。芝居の前、小川君たち出演者がめいめいに、小麦に卵や牛乳をまぜてたねを作り、卓上コンロでフライパンを熱して、ホットケーキを焼く。一番乗りした私は最初に焼けたホットケーキを「はじめなので、ちょっとできが悪いですが」とか言われながら受け取った。ホットケーキを箸でつまみ上げたら、裏側がこげていて、小川君に目で訴えたつもりだが彼はとても堂々としていた。
 夜、池袋のコミュニティ・カレッジで「本屋さんの仕事」の講義を聴講。ゲストは旅の専門書店books246を立ち上げたばかりのユトレヒトの江口さんとブックコーディネーターの幅さん。開業10年以上を経て本屋さんの作り方の講座を受ける私。
 夜、帰宅して、自分でもホットケーキを作ってみる。

●04.05.21 久しぶりのDM配り
 できあがった森雅之さんの展覧会のDMを配りに中央線各駅停車の旅。高円寺をまわった後、西荻窪まで出て、一駅ずつ戻りながら配布。配って歩くのはたいへんだけど、手渡しの際に、古書店さんに「うちでも森さんは人気ですよ」とか、飲食店の方に「ぜひ行きます」などと言ってもらうと、展示に向けての手応えみたいなものを実感できて、これも展示を行う上で欠かせないプロセスであったと再認識。
 今回は阿佐ヶ谷の夜の喫茶店「よるのひるね」に立ち寄って一杯やった後で、さらにDM配り。これまで未開拓であった阿佐ヶ谷・夜の飲食店街にお願いにあがる。訪ねたお店は値段が良心的だったり、お店の人が親切だったりで、好印象。

●04.05.17 初期衝動
 新しく納品された音楽ミニコミRECORDER創刊号を読む。特集は〈初期衝動と音塊〉とういことで、ロマン優光、STRUGGLE FOR PRIDE、LIGHTNING BOLT、THINK TANK、GOTH TRAD、二階堂和美、ECDの極初期パンクシーン回想記などが取材されているのだが、このミニコミ自体が初期衝動の形みたいな感じで、創刊号らしく編集者の趣味と思い入れが伝わってくる。
 お店をやっていると、作品や仕事を知らないうちにその人物と出会って知り合いになってしまうことも多々あるが、今回もRECORDERを読みながら、そうかこの人はこんなことを考えたりやっていたのか、と遅まきながら教えられた…。中には故人もいて、気づくのが遅すぎ、と反省。

●04.05.16 カフェはしご
 根津のカフェで開催中の製本の師・内澤旬子さんの個展へ行き、久々にお話。シルクスクリーンみたいな質感が出る顔料インクのプリンタなど、個人手製本に便利な道具あれこれについての情報を伺う。別に製本用というわけではないが、着物生地の接着シートなど、製本に応用できるすぐれものは多く、常に製本のことが頭にある師はそういったものの発見にも余念がない。
 店に出て、中野南口のギャラリーカフェuna camera liveraが発行するフリーペーパー「カギノワ」からご近所ということで取材を受ける。「カギノワ」は創刊号は紙でできた造花になっていて花びらをほどいて読むようになっていて、現在の2号目は展覧会のチケットが封入された折り畳み封筒とう凝った造り。一個一個スタッフが内職みたいにお花や封筒を作っているかと思うと頭が下がります。さてタコシェが載る次号はどんな形になるのでしょうか。
 夜、早見純先生のサイン会について日時、方法などもろもろを詰める。先生初のサイン会です! 本ももうじき出ます。
 仕事が終わって荻窪のカフェひなぎくへ取り置いて頂いていた本を受け取りに行き、夕ご飯。カフェづいた一日。

●04.05.15 柳絮の舞う公園で
 久々に早朝の野鳥観察にゆくと、フェリーニの『アマルコルド』のはじまりのシーンみたいに、ふわふわの綿毛状のものが宙にたくさん漂っていた。とても幻想的な風景。これは柳科の樹木の種子で、五月の連休から中旬にかけて見られる現象。柳絮(りゅうじょ)というのだと教えてもらう。
 観察から帰って、書評のメールマガジン用の原稿を仕上げる。今回はharappaと貧乏人新聞のふたつのミニコミを紹介。harappaは絵本紹介のフリーペーパーを発行していたポポタムのお二人が作り始めたミニコミで、身近な社会問題をテーマにしている。今回は「他人と暮らす」ということで、他者とのかかわりや自らのライフスタイルをアートとして提示するうち公園のブルーテント村で生活するようになった小川てつオ君(タコシェにも「燃えるゴミ」というミニコミを納品してくれた青年)が取材されている。
 貧乏人新聞や小川君取材などを読んでいると、持たざることに対してポジティブな見方もあるのだと思ったり、常識にしばられた自分の頭のかたさに気づいたりで、刺激がある。
 公園暮らしの小川君、柳絮をいっぱい見たかな??

●04.05.13 口琴の音色は--
 最近、なぜか、はじめてだけど口琴が欲しいというお客様がよくみえる。口琴は世界各地に分布するシンプルな小さな楽器で、口にあてて弁をはじくとビヨ〜〜ンという愉快な音がする。タコシェでは、いろいろなモデルの口琴をお取り扱いしているが、それぞれの音質などの微妙な違いをお客様に説明するのはけっこう難しい。サンプルのあるものは実際に演奏して試していただいているが、そうやってお客様に口琴を試しびきしていただきながら気づくことは、同じ口琴を鳴らしても、人によってまた音が違うということだ。
 人間でも、一緒にいてまったりする相手とテンションがあがる相手がいるように、口琴と人にも相性があるのかな? 型によって音色は違うし、さらに弾く人によって音が全然に違ってしまうから、音にも無限のヴァリエーションができて、本当に奥が深いというか、シンプルゆえに難しい。

●04.05.12 かなり人体改造
 タコシェではモドゥコン・ブックという人体改造に関する翻訳本がかなり売れている。ピアス、インプラント、ブランディング…なかにはとても痛そうな?例も紹介されている。しかし、こういった本を扱いながら、私は痛いのが苦手なので、いまだに何も試していない。
 しかし、最近、歯医者通いを続けるうちに、これって、かなり人体改造??と思うように…。子供の頃から、歯医者によく通っているのだが、治療技術にしろ素材にしろ以前に比べると格段の進歩で、光を照射すると短時間で固まる樹脂だの、薬品でブリーチだの、ハイテクっぽい素材や器具を使って歯をいろいろといじるのである。今回は虫歯が思った以上に拡大していたので、虫歯部分を削ったら歯茎が内側に入り込むようになってしまったとのことで、そのあたりの歯茎を切除して縫合しようと提案され、歯茎を削って縫ってみた。生まれてはじめての小さな手術。前歯も再治療しなくてはならず、セラミックで何本か歯を作るとけっこうな治療費になるという。そんな費用や切ったり縫ったり削ったりという治療を思うと、同じお金をかけたり体をいじるにしても、美容整形とか人体改造の方が実に前向きなお金の使い方というか手の入れ方だなぁ、なんて思い、すっかり見直している。口の中がかなり改造された私にとって、美容整形の人もタトゥ、ピアス、インプラントをしている人たちも身近な存在で、一方的に親近感を持つようになった。

●04.05.07 畸人まつり…?
 タコシェとかれこれ長いおつきあいのミニコミ誌・畸人研究。市井の変わった人々の発掘と紹介で定評ある冊子です。最近ではバックナンバーもなくなってきてご注文に応じられないこともあるのだが、これまでの内容をまとめ増補した「定本・畸人研究Z」がちくま文庫から6月10日に発行される。というわけで、発売直後の13日(日)に、“ささやかな”サイン会を行うこととなった。
 ささやか、というのは畸人研究会の主幹・今さんが言い出したことで、肩肘張らない程度に思っていただければよいのだが、畸人研究からのサービスとして、貴重なバックナンバーをご用意したり創刊号を豆本にして文庫をおかいあげのお客様におまけとしておつけするなどを予定している。
 とはいえ、ほんとうにささやかで終わっても何なので、ご担当の編集の方とタコシェもちょっと知恵を絞り、畸人本の一角を作ろうとういことになった。
 編集者さんはちくま文庫の中から畸人ものをセレクト、タコシェも畸人を紹介している本や今さんの著作(定食やプラモデルなどにも詳しく、気がつけば著書もいろいろと出してらした)を揃えることに。
 お、なんだか本屋みたいな企画だぞ。

●04.05.05 タバコのにおい
 展示の準備をしていて面白いのは、直接に原画の微妙なタッチを間近に見たり、トレぺや枠外、付箋に書かれた指定やメモなどから創作の過程をちょっと垣間見たりできることである。
 この前、送られてきた森雅之さんの「追伸」の原稿も、封をあけたときタバコの匂いがした。こないだまで校正のために刷りだしとつきあわせていた原稿の束だ。一コマ一コマを見比べてチェックする根気のいる作業の間、タバコたくさん吸ったのかな…? たいへんなんだろうな。なんて勝手に想像したりする。原稿の重さや匂い、手触りからいろいろなことを想像してしまう。
 ところで、展示のタイトルは『6月のハミング』に決まりました。

●04.05.03 捨てられないビデオ
 愛書家やマニアが集めた蔵書も、その人が他界すると、無関心な家族が二束三文で売り払ったり、ましてそれがエロ系のものだったりすると、そっくり捨てられてしまう、なんて話は仕事柄よく聞く。あるいは引っ越しやら結婚でエロ本やエロビデオを仕方なく処分する、なんてことも。この前もそんな話を耳にして、「ありがちな…」なんて聞き流しつつ、ハッと思い出した。
 もう10年くらい前、私は編集者として、あるAV監督に、当時注目を集め始めた彼の知り合いの役者に関するコメントをいただいた。原稿を受け取った報告とお礼に電話をした際、「この機会に、監督の作品を拝見したいと思います。初心者なのですが、何を見たらいいでしょうか?」と尋ねたところ、監督は不慣れな女性がアダルトコーナーに行くのを配慮してくださったのか「いや、いいですよ。そんな借りたり買ったりするのもたいへんですから---」とおっしゃった。が、ちょっと間をおいて「こちらからお送りしますよ」と、予想外の答えが返ってきた。そ、そんな、いただこうなんてつもりはなかったのに…。監督は遠慮がちな私の気配を察してか、ことさら明るくさわやかに、「お送りします!」と電話を切った。
 はたして、数日後、私の元に段ボールが一箱届いた。監督がダビングしてくださったエロビデオの詰め合わせセットである。(一本じゃなかったのね…、こんなにたくさん申し訳ない…。)さらに、それから数日して、監督からお電話をいただき「すみません、裸で送ってしまって。パッケージも後から送ります」と丁寧なフォローまで。その言葉通り、遅れてパッケージも届いた。
 監督がわざわざダビングして送ってくださったエロビデオは、フェリーニやホドロフスキーなどの名作に混じって私のビデオケースの一番奥に、いまもそっと保管されている。
 エロビデオを妻に捨てられた人の話を聞きながら、記憶の奥底にしまい込んでいたマイ・エロビデオをフラッシュバックしていた。

●04.05.01 Jour de Muguet
 すずらんの日ですが、すずらんの花がそばにないので、muguet du bonheurというコロンをつけて鎌倉方面へ外出。
 しかし、すごい人出で、歩くのもたいへん! おなかがすいても、食べ物屋さんも混んでいるため、店に入ろうとしても「えッ? 一名様?う〜んちょっと待って」など言われ、後から来たカップルに先を越されたうえ、中に入ってからそのカップルに「どうも失礼します…」と相席の挨拶をしたりして…。常にオンリー・ワンの存在の私はなかなかたいへん。
 体調も悪かったのか、途中、何度か意識が遠のくようにふわ〜となり、潮風を求めて海に出てみると、そこには鳶がたくさんいた。
 冬の間、私はオオタカやノスリといった猛禽類をよく見たが、鳶を近くで見るのは久しぶりで、カラスともタカとも違うその形の特徴がよくわかったし、尾の角度を調整してうまく風に乗っているのも観察できた。タカは生きている鳥や小動物を捕まえるけど、鳶は死骸などを食べるスカベンジャーで、そのせいか飛び方もタカ類に比べて少し大味のんびりしているような気がする。そんな鳶が山の方をくるくる周りながら上昇してゆくのを見ると、あそこに上昇気流があるのだな、とわかる。頬や襟首に風を感じたり、草木の揺れで周囲の風や空気の流れを感じたり見ることはできるけど屋根の上数十メートル中空の風や空気を感じることって滅多にないので、そんなふうに風を見せてくれる鳶をただただ見上げていた。
 夜、東京に戻り、円盤ジャンボリーでM.A.G.O.やフォルティタワーズを観る。途中から入場したので、ちょっと前にサンプル盤をいただいて気になっていたサケロックを聴き逃してしまったのは残念だったけど、ベストミュージックのピースフルなショーがよかったです。貰った100年年表トイレに貼ります!

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