2003. June      トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA



●03.06.27 本の副産物
 手製本の工房・美篶堂さんへその製品を拝見しに行く。その名前は製本通の方々から以前から伺っていたので、職人技に接すことができるかと思うとわくわくする。美篶堂さんは、アート関係の特装本や特殊な仕様の本を作る以外に、最近、製本技術を活かしたオリジナルの文具や雑貨も作っている。10代半ばから徒弟制度の中で製本技術を習得したという親方のもと、日本の手製本技術を応用していろいろな試みをしている。
 ユニークなのは本の裁ち落としを利用した親方のアート作品。紙色の組み合わせを工夫してグラデーションを作ったり、ぐにゃぐにゃと波打たせて固定してみたり。製本屋さんの余技の域を越えて、展覧会を開いたり雑誌のアートコーナーで紹介されたりと大きな反響を呼んでいるのだそう。
(写真が工房の一角。額に入ったりイーゼルに置かれているのが親方アート作品)
 美篶堂さんのノートや文具も仕入れました。単にノートや手帖、メモ帳としてみたら、決して安いものじゃありません。むしろ、量販店などにある似たような大きさの品物と比べたら高いかもしれません。職人さんたちが話合いをしたり試作をしながら、こんなものなら使い勝手がいい、あると便利だろう、面白いだろう、という視点で手作りしている品々です。なんでもない白い紙でも、いろいろな紙を扱ってきて体でその機能を覚えてきた人たちが選んだ、持ち歩きに楽な軽くて丈夫な紙を使っています。小さなメモ用紙でも、書きやすいように表紙が360度折れ曲がるうえにその繰り返しに耐えられる造りになっています。手軽さとは違う、本当の便利さや具合の良さをご紹介できればいいと思います。

●03.06.23 トルコ星座接近
 店員の大西が、まんだらけの辻中店長らと飯島市朗先生の『トルコ星座の男たち』というコミックを自費出版し、まもなく本ができあがる。
 おもえば、ここ2年ほど、仕事中でも、店頭で同志らと飯島先生の情報を交換したり、新たな作品を発掘したといってはボロ漫画雑誌を貸し借りし、胸におしいだいて悦に入っている様子になかば呆れており、そんなこちらの憂いを察してか、ときどき先生の作品を小出しに見せては「ね、いいでしょ」なんてフォローしてみせていたのだが、その編集熱もこれで収束するかと思うと私も一安心である。長かった…。
 これまでも、いくつかの漫画を復刻するなど自費出版をしてきた大西であるが、そんな経験の蓄積もあってか、飯島先生の作品のインパクトの大きさのせいか、これまでにない400pをこえるボリュームで千何百部と印刷することにしたようだ。
「いやー、大量に刷らないと値段も割高になりますからね。2000円におさえるためにも思い切って刷りました」理屈はもっともである。
「で、そんなに刷ってどうすんの? まさか、自分んちにずっと置いておくわけじゃないよね。いやだよ、大西臭がしみついた同人誌」
「ですね! 毛なんか挟まってたりしてネ。それで一部、タコシェに置かせてもらうことにしました」
「えっ、聴いてないよ!」
というわけで、もうすぐトルコ遊星群がタコシェに押し寄せてきます。

 私は発売にさきがけ、大西に『トルコ星座の男たち』のすばらしさを問うてみた。嬉々として話し出す大西。
 「まず、先生の作品はかつて一度も単行本になったことがないんです!これは初の快挙です。〈えっ、単行本ないの?〉しかも飯島先生は早見純先生の人生の師でもあるんです。昔からの知り合いで、その人物のユニークさに早見先生が感銘を受け文通を続けてきたそうで、先生方の許可を得てその手紙も公開しています。早見先生が飯島先生の批評やアドバイスに耳を傾けるという関係です。〈stronger than早見純?〉それに、なんと!驚くのはマトリックスやレポマンそっくりのシーンがあるんですよ!(以下、大西の力説は空転しつづけるが略)」
 ふくしま政美先生に負けない肉体美、早見先生がリスペクトする変態美、そして安部慎一先生に通じる観念美、ハリウッドに負けないアクション…、いろいろなものが揃った飯島先生。揃いすぎという気がしないでもないが。そんな飯島先生の本が今週中には店頭に並ぶ予定です…。今年の七夕はトルコ星座に巡り会ってみてはいかがでしょうか。

●03.06.18 出張サービス
 プリンタの調子が急に悪くなり、給紙ミスが頻発。マニュアルをひっぱり出したり書いてあることをやってみたり、テクニカルサポートに電話して内部の掃除というのもやってみたがらちがあかない。仕方ないので出張修理を頼むことにしたが、その派遣料や技術料を聞いてびっくり。安いプリンタなら買えてしまうような値段だ。しかし、即刻直さなくては仕事に差しさわりもある。
 窓口の方に「その代金の内訳っていうのは?」とか「ほかに部品代もかかる可能性があるわけですよね」などと修理費のことを再三確認して、出張を依頼。2日以内に来てもらうことになった。
 が、その後、もう一度、給紙トレイをあけてみると、なんとなく紙を固定するストッパーがずれていて、一方にぴっちり寄せておかないといけないのに1センチ近く隙間がある。まさか…。
 ストッパーをセットしなおしてプリントしてみると、はたして紙はじゃんじゃん出てきた。まさか…とは思ったが、そのまさかであった。ケーブル? 設定が何か微妙に狂ったの?などと疑ってしまったが、修理以前の問題であった。ちょっとはずかしい。あわてて、出張をやめてもらうことに。

●03.06.13 あいづち
 辛酸先生のトークイベント「辛酸なめ子の東京おしゃれ探訪」に参加。辛酸先生にとっては初のソロイベントだったのでご本人をはじめみんなで「お客さんがいらしてくれるか」と心配していたものの、たいへん嬉しいことに当日になって予想以上に多くの方にいらしていただき、不測の事態にてんやわんやして開始時間がおしてしまいました。すみませんでした。私は何をしたというわけではないけど企画に立ち会っていたので、大勢を前に話すのに慣れていないという先生をサポートすべく?適当に相づちを打つ係をつとめることに。
 ここ最近、大人とは、自分から名乗りをあげたりはしないが人にちょっとしたスピーチなどを頼まれたときは固辞せずに、手短にさらりと気の利いたことなど言うもの、と思うようになり、この課題に取り組もうと決心した矢先だったので、この役を引き受けました。トークでなく相づちなら私にもできるかも…、と。
 はじめてのソロステージ、アドリブがきかないと謙虚に語る辛酸先生は、話すべきことを台本のように書き出し、時間配分を守りながら驚くべき緻密さでトークを牽引。2時間くらいのイベントの間、私ははじめて見る映像に食い入り興味深い話に耳を傾けているうちに、相づちもおぼつかずに、全体で3言くらいしか発言しなかったような気が(アンケートを回収します、など…)。私が背後霊に見えたお客さんもいらしたことと思います。

●03.06.07 ブックカバー
 西岡兄妹のフェア開始。今回は西岡さん特製の栞が人気。オリジナルのブックカバーもなんとか間に合いました。といっても、会期中、ちょっとずつ縫って出してゆくという綱渡り。
 作成にあたってはpou cou penのしまもりさんがしっかり者で、とっても助けられました。私が作りたくても知識や技術の不足で作れないものを、ちゃんとブックカバーの形にしてくれたうえに、縫製もしてくれて、ひとつひとつアイロンをかけて仕上げてくれています。私も自分の分を…と思うのだけど、まだ売り物が足りないので手に入れるのは先のことになりそうです。



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