2003. March      トップへ

  by Ayumi NAKAYAMA



●03.03.29 円盤
 Oz diskの田口さんとトランソニックの永田さんとが高円寺に店を出した。南口をガード沿いに阿佐ヶ谷方向に2分ほど歩いたところ、「円盤」という。昼間は喫茶店、夜はバーで、音楽関係を中心にイベントをほぼ毎日行い、昼が田口さん、夜は永田さんがマスター。というわけでオープン2日目、29日のギラギラナイトに行ってみた。喫茶タイムからバータイムへ移り変わる際、イベントにあわせた席替え?など新米マスター自らが考え考えテーブルを移動。備品もマスターや知り合いがその場で修繕したりしながらで、できたて!のかんじ(でもお酒の種類は最初から充実)。
 マスターたちは開店準備や雑用に追われながらもエネルギッシュで、DJイベント後半では、バトルと称して一人が曲をかけると次のDJがその曲と共通項を持つ選曲でもって応え…という尻取りをはじめたのだが、ネタと体力がつきて脱落してゆくものを置き去りに田口店長たち精鋭だけが朝7時をすぎても皿を回し続ける…。
 前日、あまり寝てなかった私は2時すぎくらいから眠くなり、気配りの岸野さんに「一番前の椅子が寝やすいからあっちで休めば…」とすすめられ、移動して眠りこける。バトルロワイヤルに入れ替わり立ち替わり皿を回すDJ、そしてその卓の真ん前でずっと寝ている女、私。ときどき目覚めれば、妙なカヴァー曲や演説までかかっている…。
 そうして、朝、気がつけば、屍のように横たわる脱落DJに、夜を徹して聴き抜いた強者の客たち、そして皿をまわし続ける店長たち、と男ばかり。
 女性はすっかり普段着に着替えた仕事あがりのカウンターの店員さんひとり。ギャルやレディースはいなくなっていた。そんな男達の中で椅子にそっくり返ってただ寝ていた私。男気あふれる店…円盤。カフェとは一線を画す濃くエンドレスな店だ。

●03.03.24 ミニコミ製本と武井武雄
 ミニコミおまめを発行している柴田さんから豆本キットを少しわけていただきタコシェにも置きはじめた。
 ミニコミというと、コピーのホチキス止めの印象が今も強いと思う。しかし、最近では、そうしたイメージを塗り替えるようなかわいい形のものもたくさん作られるようになった。豆本、一枚の紙を折り畳んで本にしたもの、屏風にように蛇腹になったもの…。楽しいことだと思う。
 一方で、製本というと、革装にマーブル紙といった本格的なものを思いうかべることが多いけど、小さな出版には小さな出版なりの製本があっていいし、そうしたノウハウが蓄積・共有されたら嬉しい。
 オリジナルの形を作ることはとても大事であると同時に、紙目(紙にはたわみやすい向きがあって、目に従って使うことで長持ちしたり、張り合わせたときにひきつったりしなくなる)とか、綴じ方、裁ち方など本の機能にあわせた方法をうまく取り入れることも大事だと思う。
 河出のムックやプチグラなど武井武雄に関する本が最近、出ているけど、武井武雄自身も刊本シリーズでは見本は自分で製本して作ったという。武井武雄自身も「製本」というまるまる一冊製本の本を残している。
 かわいい形に確かな技術があわさればいいと思う。豆本キットは手で読む?本。作る人にも見る人にも楽しめると思う。

●03.03.19 同性愛に関する本や雑誌
 同性愛に関する雑誌やミニコミ活動がいっときよりも下火になったのは、インターネットによるところが大きい。たしかに、雑誌で人気なのは文通や友達募集コーナーだったというから、すぐに友達を見つけることができて返事が返ってくるネットやメールの方が俄然便利であろう。
 しかし、出版活動が下火になったわけはそれだけではないと思う。今、90年代に出版されたものを読み返してみると、いずれも、いかにアイデンティティを確立するかという問題が大きく(カムアウトどうする?とか職場ではどうしたらいいとか)、同性愛者全体の大きな課題だったのが、(もちろん同性愛者に対する偏見や差別などはまだまだたくさんあるけれど)先達の努力の甲斐あっていろいろな事例ができ対社会のノウハウやスキルが蓄積され、個々の問題として捉えるようになってきたように思う。
 というわけで、カムアウトや二丁目マップ、病気についてとりあげるのは、「小学一年生」を毎年読むような感覚になってしまったのでは、という気がする。
 でも、実際のところ、エイズの感染者は(同性愛者も含めて全体で)増えているわけだし、行政上の問題もたくさんあるように思う。
 炭坑のカナリアじゃないけど、ライターの伏見憲明さんは、ゲイは社会の様々な問題を先取りしているというようなことを言っていた。戸籍上の家族でない家族と暮らすこと、シングルでの老後…、しかし、それらはゲイだけの問題じゃなくて、いろいろなライフスタイルが出てくる都市生活の中では誰もが経験する可能性のあるアクチュアルな問題だと思う。なので、クィア・ジャパンなど、特集によってはとても参考になってしまうし、すでに自主的に老後も問題などに着手しはじめている彼らがうらやましいような気さえしてしまうのだった。
 というわけで、少女でなくてもオリーブを読むように、クィアでなくても読みたくなるクィアな本の出現と活躍に今後は期待。(「ファビュラス」などもその試みをしたけど、少し時期が早かったのかも、残念ながら終わってしまいました)

●03.03.18 新しい劇場のかたち
 大阪では80年代から関西小劇場シーンを支えてきた扇町ミュージアムスクエアが閉館となり、4月には近所のミニシアターBOX東中野の閉館になるなど、劇場・映画館に関する寂しい話題が続いている。
 しかし、その一方で、地方の小劇団の紹介など地道な活動を続けてこまばアゴラ劇場が運営形態を一新してサポーターシステム?で良質のプログラムを提供しようという試みをはじめた。
 これまで劇団に劇場を貸し料金を受け取り運営する、いわゆる貸しコヤ(ふつう劇場はだいだいそういうもの)だったのを、個人・団体/官民を問わず劇場支援会員をつのり、年会費をもらい、劇団からお金をとることなく運営を行う一方で、芸術監督の平田オリザさんをはじめとした劇場スタッフや学芸員が良質の公演をプロデュースしプログラムを作り、会員をはじめお客さんに提供するというもの(会員は一定の本数や割合で無料観劇できるなどの特典がある)。
 また主に若手劇団育成ために、アゴラ劇場をフランチャイズにする劇団・青年団が客演協力をしたり(若い劇団には若い役者しかいないために登場人物に制約ができてしまうのだ)劇場スタッフが制作や裏方をサポートするなど、劇団が抱えるお金や人や物の手配などのストレスを減らして芝居作りに集中しやすい環境を提供しようというもの。
 会員は会費を払うけど、年に3〜4本興味をそそられる公演があれば十分もとがとれるから単なるパトロンでなくお客さんというかサポーターのようなもの。それだけ劇場に対して目を向け足を運ぶことになり期待もするようになるのだから、いいことだと思うし、当然、劇場もそれに応える内容を用意してよい刺激になると思う。
 劇場運営がたいへんな時代の新しい取り組み。うまくゆくといいと思うし、よい例となって、サッカーの球場みたいに地域ごとに特色ある劇場ができればもっといいと思う。

●03.03.17 寄生虫と確定申告
 日曜日、買い込んだ食材を、料理しようとしたところ、鱈の切り身に寄生虫が。以前、森繁も寄生虫で入院して一挙に魚の寄生虫がクローズアップされたことがあったが、とうとう私のもとにもやってきた。冷蔵されたいたにもかかわらず全長4センチくらいの寄生虫は元気にトレイの中を動いており、こいつを取り除いてよく火を通せば大丈夫!とは思いつつも、何か気になり鱈を食べずにただ観察してしまう。再び冷蔵庫に戻し、夜中に寄生虫がどうしているかをまたまた観察する。このとき奴は皮の上でとぐろを巻いていた。朝、再び観察すると切り身の下の方に移動している。活動的である。仕方ないので、雨の中、自転車に乗って15分くらいかけてスーパーにゆき別の切り身と交換してもらう。確定申告の日に寄生虫のために忙しい思いをさせられてしまった。もっと退屈な日に来てほしい…。(名前をつけることもなく記念撮影することもなく別れてしまった。寄生虫のかわりに森繁自伝の書影を…。芸談は出てくるが、寄生虫は出てこない)

●03.03.14 トートバッグ
 太田螢一さんの展示の準備は遅々として進まないが、何もしないでいるわけではない。地道に作業は細々と続いており、文具、シャツなどちょっとずつできている(もよう)。で、全部、できるのを待つと何年もかかってしまい、最初に作ったものが古びてしまうので、もうできたものから出す!ということにして、トートバッグのプロジェクトが動きだした。
 太田さんはいつも「僕は特別な注文はないよ」と言いながら、「よくあるタイプのは避けたいね」とか「色はカラシ色がいいね」とか「縦型でいて…」とか結局、すごくこだわりがあって、「そんな希望通りのなんてないよ〜」ということになってしまうのだが、そんな風にぼやいていたら、製本ワークショップで知り合ったセミオーダーのトートバッグをネット販売をしているみつばちトートの束松さんが「太田さんの作品ならお手伝いしますよ」と助けの手をさしのべてくださったのであった。そもそも製本ワークショップだって、太田さんの本づくりのたしになればと思って参加したものの、どうにも形にならずに挫折したのが、本はできずにバッグを作るのにこぎつけたわけだから、世の中、何がどう役にたつかわからない。
 というわけで、予想以上にいいものができる! イラストもトートのためにと太田さんがかねてから決めていた絵柄だし、バッグもオーダーメイドで希望通りの色や形のものができるのだから。

●03.03.11 戦争と表現
 開戦の動きが気になるなか、反戦も世界的なひろがりを見せているが、
とあるミュージシャンがやってきて何気なく語った。
「僕のところにもチェーンメールが来て、チェーンメールっていうのは不幸の手紙にも似たものだからその方法自体には疑問がるけど、内容には考えさせられたんだ。反戦に関する集まり、あるいは公的な行事への参加のオファー、これからはただ演奏をするだけじゃなくて、それ以前に、自分の立場が問われることが多くなってきたし、自分の立ち位置を自覚せざるをえないね」と。
 開戦の勢いは、身近な表現にもいろいろな形で影を落としている。

●03.03.10 荷物
 新聞やテレビで、電車の乗り降りの際に肩がぶつかったといきなり殴ったり突き飛ばしたりでの大けがのニュースを見ると心痛む。タコシェも狭い店で、人がお互い気にすることなくすれ違えるほど通路の幅がないのでお客様には不自由をかけていると思う。ちょっと声をかけて譲り合っていただければ嬉しい。
 私がみたところ、人は互いに譲り合ったりしているけど、忘れられているのは鞄なのだ。人が体をひいてもでっぱっているのは鞄の方で通路はあかない。ちょっと鞄をひけば済む場合も多い。平積みしている本も鞄があたって崩れてしまうことがあるが、これも直接に体にあたって崩れたわけじゃないから崩れたままになってしまう。たまに、本の上に鞄や、ときには濡れた傘まで置く人がいるというのも他店で聞いたことがある。
(そういう私も学生の頃、甘味屋に入り、床の間に鞄を置き、店の方に「そこは床の間で荷物置き場じゃありません!」と注意されたこと今でも忘れられないし、はずかしい)
 くつろいで本を見ていただきたいと思っているし、そのためのゆとり空間をちゃんと提供できないのは申し訳ないのだが、お荷物と本の出会い頭の事故?ちょっと気にとめてもらえたら幸いです。
 大きなお荷物はレジでおあずかりいたしますので、どうぞお申し付けください。

●03.03.09 blue
 魚喃キリコ原作の映画「blue」公開に先立ち、その音楽を担当された大友良英のサントラが発売され、記念ライブが青山のCAYで行われた。大友良英が手がけたこれまでの映画音楽を生で演奏しながら、間にトークあり、青山真治監督のDJタイムあり、といった盛りだくさんのイベント。映画に主演した市川実日子や原作者魚喃キリコがパーカッションで参加しての演奏もあり。映画から離れても十分に楽しく、クリコーダーカルテットでしか聴いたことのなかった栗原氏のリコーダーがとても壮大な響きをもって聴こえたりして、気持ちよいライブであった。

●03.03.08 芸談1
 古本は一期一会というけど、新本でも芸能人や芸人の本は本当に出たときに買っておかないと二度と手に入らないことが多い。なんで、すごく面白いのに増刷もされないまま消えていってしまうのか、芸談本。というわけで、ときどき芸談本を紹介したりしてみようと思う。最初は歌舞伎の市川左團次自伝「俺が噂の左團次だ」(集英社)。
 最近、若手俳優の活躍&ゴシップが色々話題だが、それよりも衝撃的というかアブノーマルな内容。冒頭からいきなり
「何からお話していいものやら、困りましたね。どうしましょうか。
え、私の芸談?(中略)
 ええ、マスコミの方が、よりによってこの私に「芸の話」を聞きたいって、インタビューに見えるんですが、ホモとSMの話なら、すぐにでもお話するんですが、(中略)のぞきの話にしませんか」って。隠すことなく変態な内容をたくさん盛り込みながら展開される失敗談てんこもりの芸談。いいのだろうか、伝統芸能なのに、と読む方が心配なくらい、あけすけな。舞台の上でも異形の役者という印象だったけど、素も普通じゃない左團次さん。あの歌舞伎ぶりは、にじみ出てくるものだったのかと納得。

●03.03.07 向島あたり、そしてプラネタリウム蕎麦屋
 ミヤタケイコさんの展示があるということで向島の現代美術製作所に行く。新作はないけど、以前の代表作や最近の大きな作品などもふくめて大小のいろいろな作品を大きなスペースでゆったり見ることができる展示。それと、ガイコツばかりのグッズを作っている女の子サカイダヨーコさんがカフェをやっていて手作りガイコツグッズでうめつくされていたが、それがこわくも変にかわいくデフォルメされたりもせず素朴な手作り品ばかりで妙な和み空間と化していた。
 このスペースを運営している曽我さんのお話だと、向島界隈は古い木造建築が密集している地域で、一時期は防災上の理由などで町を一新してきれいにしようという動きもあったが、この経済の低迷で大規模な開発も立ち消えとなり、最近ではもともとの町作りの運動をしていた人たちとアーティストや建築家たちのネットワークが機能しだして、住む人がいなくなった古い木造建築をアーティストのアトリエとして提供したり、海外からの作家のステイに利用したり…という、従来の町並みをいかした市民レベルの活性化がさかんになってきているとのことで、今後の向島界隈が楽しみになってきた。私も東東京の住民として何かお役に立ちたい。
 曽我さんは「だって下町には大学がないでしょ。だから、ワークショップとかいろいろなものを発展させて学校までできたらいいと思う」と言う。みんなで作る下町の学校。よく麻雀大学とかラーメン大学とか町にあるけど、そんなニュアンスに近いかも…? でも、それでみんなが参加できて勉強できればすてきだと思う。
 展示のあとでみんなで近所の蕎麦屋「菊元」へ。なぜか天井がプラネタリウムになっている蕎麦屋…。天の川や流れ星を見ながら蕎麦。内装は特異だが味は正真正銘、とてもおいしかった。それにしても、下町はカフェバブルやこじゃれたセンスに汚染されていない店が多い、多すぎる。我々(私が勝手に下町〜特に川向こう〜住民の同業者を仲間にしている)は日夜(というか殆ど夜間)こうしたエリアをうろつきながらオリジネーターなお店を発掘するのに余念がない。

●03.03.04 注文がわからない本屋
 お客様から注文をいただき本を調べたり取り寄せる、本屋ではよくあることだ。しかし、この日常茶飯事がなかなかうまくいかない。
 たとえば、お問い合わせが「えーと、山田ナントカという人の最近出た本ありませんか?」などと、著者もタイトルも内容もすべて不完全な場合。心当たりがある場合は、それだけでピンとくるのだが、そうじゃない場合も多い。「うーん、どんな内容ですか?」とこっちが聞き返してしまう。どうしてお客さんは本がほしくて本屋にみえるのにこうも情報が不完全なのだろう? たとえば肉屋で「えーと、羊か馬か…どっちかの肉300グラムくらい?」なんて言うことはないだろうしと思ってみるが、原因のひとつはなんとなくわかる。本や雑誌のブックレビューなどを見ていると、著者とタイトルしか入ってないものがけっこうあるのだ。その二つだけでも完璧ならば問題はほぼないのだがいちいちその場でメモしてるわけじゃないからどうも記憶があやしい。調べるとき、出版社も大事な情報で書店にとってはこれがわかるとすごく手助けになるし、直接会社に問い合わせて在庫状況などの確実な情報を得られるのだ。なのでミニコミでも雑誌でも、実際に読者がその本をみたくなった場合のためにもうちょっと本のデータを詳細に書いておいてもらえると有り難い。
 それから取り寄せの場合の問題点もうひとつ。これはお客さんの側でなく私自身の問題なのだが、なんとか取り寄せられそうなものを「なんとかしよう」と思って引き受けてしまって、結局、なんとかならない、という場合が少なからずある。出版社が出しているものに関しては返本が出そうだなどと狙っていてあてが狂う、ミニコミ類の場合「僕の家にはないのですが、別の奴の家にあるかもしれないのできいてみます」とかいうことで、しばらく待つも返事がなく再び問い合わせ。再度「今週中には返事をします」で待つもなんら返事なし。なんて具合に虚しく時がすぎ、その間にお客様が心配して問い合わせてきて、そちらに謝り、納品者には「お願いします〜」と頼みという膠着状態。もう三者三様にあせったりして誰も心おだやかでない。というようなわけで、今もお待たせしているお客様がいらっしゃるのです…。申し訳ありません。

●03.03.03 昭和28年発行 「商業デザイン全集」
 色ずれした図版と不思議な色味、妙に納得してしまう書体のレタリング…それらにひかれて古いデザインの本を買ってしまいました。本文の文字も旧字体の活字。これを丁寧に拾ってゆけば、クラフト・エヴィング商會ごっこができそう。

●03.03.02 秘密の手帖と標本箱
 3月1日、銀座にある紙会社のショールーム紙百科に勝本みつるさんの「秘密の手帖」展にゆき、コラージュをほどこした手帖をもとめた。印刷でみるのとは違った、確かな手仕事〜切り貼りや折り目の正しさ〜オブジェとしての存在感を実感できてやはり実物を見てよかったと思った。
 ショールームにはいろいろな紙の見本があり、お客さんは3枚までサンプルをいただけるようになっているのだが、そこにいらした方に、「この中の紙を使っているのですか?」と伺ったところ、表紙、見返しなどそれぞれの部分の紙の銘柄を教えてもらえた。展示にはそうしたことは特に書かれていなかったように思うけど、加工前の材料がすぐ隣にあるというのは興味深いし、こんなふうに会社がアーティストに素材を提供して展示を作るということも面白い方法だと思った。
 3月2日、マーク・ダイオン「驚異の部屋」東京大学総合研究博物館小石川分館に観にゆく。東大がこれまで集めてきた学術標本や廃棄物などを、重要文化財でもある明治初期の建物の中に、博物学のミュージアムのようにコラージュした展覧会。東大にはいろいろなものがあるのだなぁ。とても大きな生き物の骨、ぼろぼろの剥製、ホルマリン漬けなどなど。埃をかぶった亀の剥製などちょっと拭いてあげたい気持ちになる…。長らく象牙の塔にしまい込まれていた標本を、アーティストを招いて大学の先生や生徒も一緒になって収集、レイアウトして無料公開するというプロジェクトは、アカデミズムとか博物学的な学問の世界に対する批判や提案も多分に含まれているし、学校が素材を提供して展示を行うというのが前日に見た勝本さんの展示の方法とだぶって面白かった。

●03.03.01 はたらく車
 ネットの時代、多くの表現欲求の受け皿はミニコミやフリーペーパーでなくネットに移行しているのは確かだが、それでもやはり紙の表現を選ぶ人たちもたくさんいて、それゆえに、独自のこだわりや質の高さを見ることができるような気がする。そんな中、いまどき珍しく、手書きの手紙に挨拶からはじまり発行の経緯や思いを丁寧に綴った文章とともにサンプルとして一部の手書きフリーペーパーが送られてきた。そのタイトルは『油圧どヂーゼル』。幼い頃から、建機や農耕機械、特殊車両など「はたらく車」好きの青年による、はたらく車を特集したペーパーである。
 彼によれば、海外でははたらく車は趣味として確立されたジャンルでカタログ、ビデオなど豊富だが、日本ではマイナーゆえに自分で作ってみたとのこと。サーチしたすえに辿りつく人を対象にしたネットと違って、求めざる未知の読者へ向けての言葉、はたらく車への熱烈な思い、なにか出版の初心を思い出させてくれるような楽しいペーパーで、さっそく作った彼に連絡をして送っていただくことになった。

●03.03.01以前のこと 銭金
 すこし前、アメリカとイラク間の緊迫した状態から開戦間近…と思った私は店で「テレビ局はいま、戦争秒読みの報道で忙しいのよ!」と仕事に関係ないことを喋っていたとき、申し訳なさそうに近づいて来た男性ひとり。差し出された紙には「銭形金太郎出演者募集」の文字が…。ご存知の方もいらっしゃると思うが、銭形金太郎とは、貧乏な生活をしている人々を取材し、番組の中でその貧乏度や滑稽度を競わせるという深夜番組である。「戦争前夜でたいへんなのよ!」と 語る私に、テレビ番組なのに戦争でないことをすみません…というかんじでやってきて、「周りの貧乏な人を紹介してくださいませんか?」とこちらの様子をうかがいなが言うのであった。ショーック! そんなに貧乏人がいそうにみえるのでしょうか…? 確かに、芝居や音楽などをやっている知人の中には生活をきりつめて頑張っている人もいる。だけど、それをテレビでタレントたちに面白おかしく見られたりいじられるのは、嬉しくないのでわざわざ紹介はしないことに。でも、たずねられたってこと自体、なんかねぇ…。 


過去の日記
 2003年02月の日記
 2003年01月の日記
 2002年12月の日記
 2002年11月の日記
 2002年10月の日記
 2002年09月の日記
 2002年08月の日記
 2002年07月の日記
 2002年06月の日記
 2002年05月の日記
 2002年04月の日記
 2002年03月の日記
 2002年02月の日記
 2002年01月の日記
 2001年12月の日記
 2001年11月の日記
 2001年10月の日記
 2001年09月の日記
 2001年08月の日記
 2001年07月の日記
 2001年07月の日記
 2001年06月の日記
 2001年05月の日
 2001年04月の日記
 2001年03月の日記
 2001年02月の日記
 2001年01月の日記
 2000年12月の日記
 2000年11月の日記
 2000年9.10月の日記
 2000年8月の日記