- Diary Mar.2002 トップへ
- by Ayumi NAKAYAMA
- ●02.03.30 待機の日々
- 予定通りなら私は今日登山をしていたはずだが、今日、鈴木先生の作品が搬入されることになった段階で予定はキャンセル、届き次第展示の支度をすべく待機ということになったが、それもまた延期され、展示品がすっかり変わってしまった初日の今日。早くに起きて、変更を知らずに来店されたお客様がいらした場合を考えて、御説明&お詫びのために早めに店に出て待機。幸い、店にいらっしゃってから急な変更を知り説明を求められることはいまのところはないが、それでも申し訳ございませんに尽きる。本当に申し訳ありません…。新作は今日、発送されたらしいので、明日にはタコシェに到着する予定である。明日も待機。
- ●02.03.29 鈴木翁二展前日、しかし絵は届かない、となれば…
- 棚卸しをしたり舞踊を観たり夢を見たりして過ごしている間に、実は私は北海道の鈴木翁二先生に何度となく電話をして、「30日からですのでよろしくお願いします」とか「描き下ろしはもうできましたか」などと、様子をうかがったり、急いでもらったりの電話作戦も展開していたのであった。昨日がタイムリミットかと思い先生に電話をすると初日に着くようにしてくださるとのことだったので、今日、発送完了を確認すべく電話をするとはたして作品は揃わず発送は行われていなかった…。もうぜ〜たい間に合わない。
- しかし、昨日から、考えたくはないが、こうした事態も想定して代わりの展示物を思案していたのであった。東京にあるまだタコシェで展示したことのない鈴木先生の絵を探す! とりあえず鈴木先生の本を出したことのある旧知のいくつかの出版社にあたって、もし原稿があれば、それをお借りする交渉をする。しかし、どの出版社にも原稿はなく、辛うじて「こくう物語」を出した青林工藝舎の手塚さんの個人蔵の絵2枚を貸していただけるということになったので出かけることに。しかし2枚じゃ形にならないよな…と電車の中でほかの方法を思案するもいいアイデアは浮かばず。ところが、青林工藝舎に行ってみると、ちょうど「こくう物語」の原稿が戻ってきたということで、急遽、貴重な原稿をお貸しいただき展示できることになった。なんか展示物はこれで当初の予定よりもグレードアップしたのではなかろうか!? 災い転じて福となす、というか、雨降って地固まるというか、とにかくよかった!
- 20年ほどの歳月をかけて完成した「こくう物語」の原稿は歳月で紙も少し黄ばんでいたり、単行本化にあたり最近になって手を入れたりで、ホワイトやつぎはぎもたくさんある。山の峰をホワイトで一まわり削っていたり、微妙なこだわりが、修正の跡からうかがえる。印刷された本ではわからない20年の変化を本と見比べながらどうぞ原画から感じてください。
- ●02.03.28 原美術館の珍しいキノコ舞踊団とモーリス・ブランショ
- 年度末だからというわけではないが、棚卸が他の月よりも捗らず、私も店員と一緒に棚卸を行っているため日記はちょっとお休みしてしまった。
- 昨夜は原美術館に「珍しいキノコ舞踊団」を観にゆく。あの原美術館の中で舞踊だなんてすてき!と思っていたが、当日よくよく案内状を観ると美術館を背景とした庭が会場であることがわかり、しまった!防寒してくるんだった、と思ったが遅かった。会場でへスープやカフェオレなどが売られていて何かとてもいい雰囲気だったが、寒さと水分とで途中でトイレにゆきたくなるといけないので飲みたくても我慢。作品はこの時期の野外ということも配慮して60分にまとめられていたが、とにかくラブリーでユーモラス。美術館のガラスばりになった廊下を歩いてトコトコと庭で出てくる普段着の女の子たちがじゃれあっているうちにダンスになって、また建物の中に入っては出て、廊下で踊ったり窓から身を乗り出したり屋上にポンと現れてみんなに注目されてみたり。かわいい、かわいい、とってもかわいい。ガラスばりの廊下という外と内の中間地点があることにも通じるがバックステージと舞台の境もふんわりとしていれば、歩いたり喋ったり走ったりというありきたりの動作とダンスの境もないような、やわらかでいて、でもハロウィンやクリスマスみたいに日常の続きなのだけと祝祭的でほのぼのとした世界がありました。これで寒くなければなお言うことはなかった…。
- 夜、私の夢の中になぜかモーリス・ブランショが登場。ブランショはもう亡くなってしまったと思っていたのに(事実、そうなのだが)夢の中で目の前に現れた彼は私とあまり変わらない年齢にみえたので「お若いので驚きました」と私は挨拶をした。数年に一度しか夢を見ない私であるが、その数年に一度の出演者がブランショあるいはブランショをかたる男だなんて…。著作もちゃんと読んでいないのに出てくるだなんて、ブランショはよほど私に読まれたがっているのであろうか。
- ●02.03.25 古屋兎丸氏来店イベント無事終了
- 昨日は古屋兎丸先生来店イベントがあり、たくさんのお客様においでいただいた。
- 古屋さんは、タコシェがこじんまりしており、お客様も多すぎず少なすぎずにいらしてくださるので“落ち着く”と言ってくれたが、向かいのアクセサリー店のお姉さんまで、店にやけに人が集まっているのを見て、「ちょっと何、どなた?」とやってきて「私も読んでみようかしらねぇ」などと言うのに対して、私たちが「お向かいの方です。サインをよろしくお願いします」と近所の人を紹介して頼んでみたり、集金の人やその他の用事の人が途中で来てバタバタしたり…、我々は浮き足だち、わさわさしていた。(落ち着きのないのは店員だけでいつものことかもしれないが)
- 今回はアンケートも行ってみたのだが、お客様のご意見を伺えてとても参考になる。ありがとうございます。アンケートの統計は期間が終わったらまとめたい。
- ●02.03.22 かなしいリサイクルの心と桜祭り
- 年度末が近いし、月末はちょうど週末であるし、25日には銀行が混むし、みずほ銀行は月末にはATMが使えないようだし、と色々と重なっているので地味に支払い関係の業務を行う。こうして現実と向き合い、お金のことを考えるとき私の心は決しておだやかではない。損得・収支のさざ波が私の心に寄せるとき、私は床に落ちたクリップを広い集めて再びクリップ入れに戻し、出版社から遅れられて来た書籍用の巻きダンに貼られた宅急便のラベルに爪をたててかきむしり保管、再利用できるエアキャップ(暇なときに一個一個プチプチつぶすあの透明ビニールの保護用のシート)がゴミ箱に捨てられているのを見つければかわいそうに捨てられた子猫を見つけたときのように怒りに震えながら即座に引きずり出して、ひっついたガムテープを引き離してから畳んで梱包材入れにしまうのである。こうやって書いてみるとすごくせこい!そしてかなし〜い。
- 中野通りの桜も満開です。桜祭りは4月の最初の週末あたりにあるようだが、見頃は今週末であろう。サンモールやブロードウェイの一本となりの通りが中野通り。往復の道を変えてお楽しみください。
●02.03.21 チンボを扱う店とサーチエンジン・システムクラッシュ・ツアー
- 最近、松沢呉一は日本各地のチンマン用語の収集・分析に余念がないようだ。こういう仕事をしているときの松沢は実に活き活きとして熱心である。昨日も営業中に電話をかけてきて、地方出身者であるイトーにいろいろと訊くのである。松沢の読者の方やタコシェにセクシャリティ関係の本などが置かれていることを知っているお客様なら驚かないかもしれないが、ふらりと入ってきたお客様はレジで電話に出ながら四文字言葉を話している男をどう思うのであろうか。まして、昨日は、通信OA関係の営業の方が店にみえて、いかに電話線を効率よく使い経費を節約できるかについてを私に説明していた。せまい店の中、イトーと営業マンとの距離は30センチほどである。一方で「お電話の使用中にキャットもお使いいただけるようにするには、既存のISDN回線をこちらにシフトしたうえで、LANでつないであるPCは新たにですね…」などと入り組んだ配線の事を言ってるとなりで、「えー、チンボです」などと言っており、まる聞こえなのだが営業マンは淡々と説明を続けていた。どんな商売をしている店だと思ったであろうか…。きいてる私の頭の中が混線しそうであった。
- 今日は、宮沢章夫さんが、自身の小説「サーチエンジン・システムクラッシュ」が小説の舞台である池袋を主人公が辿ったように歩くというツアーを呼びかけていたのに参加。当初、100人を越す応募があったが、直前に都合がつかなくなった人などもいて、逆に私は予定が見えずにいたのだが、特別な用事が入らなかったのと珍しく早起きできたのとで、飛び入り参加させていただいた。2才児2名を含む100人近い人が8人ずつのグループにわかれて移動。四谷から中央線に乗り、新宿で乗り換え、池袋へ…。その後は、名所ともいえない薬の量販店やOAショップ、風俗密集地帯、小説の中で赤いチョークの線がひかれていたと思われる塀など、をチェックしながら昼前から夕方まで池袋をただ歩く。池袋には何度となく行っているわけだが、だからといってちょっと裏に入った雑居ビルなどを知っているわけもなく、それに小説が事実に対応している必要もないという思いから、わざわざ歩いてみようとは思いもしなかったのだが、実際に歩いてみると、読みながら頭に描いていた世界というのは私の池袋観や池袋イメージが作りあげていた部分がかなり大きかったと気づいたし、当然ながら小説によって描かれていな部分の大きさも感じた。桜の美しい寺、驚くほど近かった雑司ヶ谷、駅の近くなのに閑散とした線路沿いの道、幾多の人々の生活…。誰かの後を辿るというのは、人の目線を借りることになり、新しい発見がある---と発見。
- ●02.03.20 春キャベツのシフォンケーキを巡るプロジェクト
- 支払関係の仕事をまとめて行う。お金のことをしている間は緊張するので、やっているうちに頭が痛くなってきて肩も凝る。私は同年代の仕事をしている人に比べて、疲れ具合が少ないような気がする。普通、大人は胃痛とか肩こりとか抱えて働いているのではなかろうか。じゃなければ、OLたちがあれほど癒しを求め、エステやネイルサロンやら何やらにあんなに集まるはずあるまい。クイックマッサージにでも行きたい気分であったが、とりあえずお気に入りの喫茶店「カフェ・ド・スゥヴニール」に入ってコーヒーを一杯飲むことに。ここは高校生以下は入れない大人のスポットである。店内も落ち着いた雰囲気で、ケーキはどれもとてもおいしい。で、席についたら、この時期だけの春キャベツのシフォンケーキをすすめられたので、さっそく注文してみた。よく煮てピュレー状にしたキャベツが入っているのだが、青くささがなく、ふつうのシフォンケーキより少しもっちりとした食感で甘みもひかえで気に入った。わざわざおすすめするだけに店員さんたちが食後の感想を知りたがり、「もっとキャベツを入れた方がいいと思います?」とか3人からかわるがわるきかれてしまった。一つ一つに感想を述べたが、様子で伺う表情や「言って、言って」という雰囲気で返事を待つ様は、いい年をした男性がちょっとはしゃいでいるみたいで微笑ましかった。ここでも小さなプロジェクトXが展開されているのでしょうか。春キャベツのシフォンケーキ、シーズンの終わりにはもっとおいしくなるのかな。ケーキとコーヒーで生き返ったひとときだった。
- ●02.03.19 OMS閉館にしょぼん
- 必要にせまられたりして、読む本が、ここのところ、実用書ばかりなので、それはそれで勉強になるのだが、どこか生活に潤いや刺激がないような…。しょぼ〜ん。ついでに最近のしょぼ〜んな出来事といえば、大阪の扇町ミュージアムスクエア(OMS)が閉館してしまうことである。大阪ガスによって運営されてきた劇場・映画館・ショップなどの複合施設だが、建物の老朽化を理由に年内で活動を終え、閉館後は戯曲賞の選定を除いて継続の予定はないようだ。関西での小劇場シーンを担ってきた貴重な場所で、私もわざわざここにお芝居を観るためだけに何度か出かけたことがある。建物の中には劇場、映画館、ショップやカフェ、稽古場のほか、ぴあの編集部もあり、単なるハコというより人や情報が集まり発信される場所といったかんじで、東京にはこれだけのものが一カ所にまとまったスペースがないだけに羨ましい大阪名所と思っていた。大阪という都市の大きさや手頃さがああいったスペースを作っていたように思う。
- 以前、関西方面を予定もなく旅行していたとき、OMSに立ち寄ったことがある。知り合いの劇団がここに稽古場を持っていたので、訪ねてゆけば誰かしらはいて、ひょっとしたら夕食くらいはつきあってくれるだろう、という魂胆だった。果たして、顔見知りの役者さんがいて、一緒に夕食をとることにした。「今晩、泊まるところが決まってないんだけど、どこか安いとこ知らない?」なんて話をしながらOMSの中を歩いていると、彼と知り合いの女性編集者に出くわし、「こちらは、東京から来たライターの中山さんといって、今晩とまるところがない人」と紹介された。すると相手はたまたま私の書いたものを読んだことがあったため、あやしまれることもなく「ほな、うちに来ればいいよ〜」とその日の宿が即決した。さらに、その後、彼女の家は私の関西旅行や取材のたびに滞在先となってしまうのだが…。そんな、偶然の出会いやきっかけも色々な施設が入り込んでいるからあるわけで、上映史や上演史などに残らない、そうした無数のドラマを思うとOMSの果たしてきた役割の大きさは語り尽くせないのじゃないだろうか。
- ●02.03.18 茶人にみるコギャル感覚
16日土曜日は、上野の博物館に松永耳庵コレクションを見にゆく。茶道具を中心に、紀貫之や空海らの書の掛け軸、仏像などセンスのよいものがたくさんあったが、その一方でわびさびをイメージさせる茶の世界とは違った、ゴージャスさ・金持ち度合いに、ため息が…。ただ、ひとつの茶入れに対して、スペアの蓋が何個かあったり、「しふく」とか言うんだっけ?特製の布袋が何個もあって、一緒に見ていた松井みどりさんは「これはAuの携帯のように、外側の模様を自由に変えることができる仕組みですね」などと述べたので、茶人のAu感覚というかコギャル感覚に感心する。
古屋兎丸氏の展示が16日からはじまったが、店内でのアンケートに御協力していただき、嬉しい。御意見を参考に今後の他の展示や古屋氏の次回(未定)にも活かせたらと思う。また、御協力いただけたお客様へ何か記念やお礼の小さなものをお渡しできるようにしたいな…とも思う。
- ●02.03.15 チックなモールス信号と一億円の運用
- 昨日は太田螢一さんとパルコ木下さん立ち会いのもと版画を勉強中の学生さんたちをひきあわせ、いろいろ共同プロジェクトの可能性を探ろう!という段取りであったが、太田さんが1時間以上の遅刻。パルコさんたちは別の所で待っていたので、私は一人待ちくたびれていたのだが、現れた太田さんは紫のシャツ、紫のパンタロン、そして紫の帽子に、蛇革のチョッキ、革のジャケットというすごい姿であった…。
- 太田さんとパルコさんはチックが出ることがあるということから妙にうち解けて、パルコさんが「僕がチクチクって動くと、太田さんもチクチクってかんじで、何かモールス信号みたいで、言葉がなくても通じるようですね!」とロマンチックなことを言うので、体の悩みに属することなのに笑ってしまう。
- 学生さんたちが卒業制作で作った作品も見せてもらったが、それぞれ版画によって表現を行えるちゃんとしたクオリティに達していて、なんか偉いなぁと関心してしまった。決してアート少女とか不思議ちゃんな印象ではなくて、むしろ職人風なところも好印象。
- 今日は、とある外資系銀行に行き、窓口で口座開設について質問してみたが、たくさん待って、やっと順番がまわってきたら、窓口の男性が「法人は大企業としか取引をしません」という。個人なら30万円以上残高があれば管理費などをとらないで口座がもてるのに会社だと30万くらいじゃだめで大企業というのはなぜかしら…と思って、どういう違いなの?と質問してみるも「そちら様が毎月一億円運用するというのなら支店長がお相手して相談に乗らないこともありませんが…」と言って、私が出した番号札の紙を捻りつぶしたのでちょっと不愉快になった。「じゃあ、だめってことね」と言って帰ってきたが、「あらそう、9000万くらいじゃ無理なのね…」とか言って反応を見てみたかったなぁと、後から思ったりして。アグレッシブな銀行である。
- ●02.03.13 アンケートはどうだろう
- ギャラリーと違って、身近に漫画家さんやイラストレーターさんたちの絵を求めることのできるお店を、と思ってきたタコシェだが、これまでに販売した絵の量も増えてお付き合いした作家の方々も増えてきた今、ただ売るだけでよいのかなぁ…とたまに疑問を感じることがあった。タコシェをはじめる前は絵を買うだなんて、お金持ちのすること、と思っていた私も、タコシェで絵を買い、部屋に飾ったりして、それだけで、何か部屋や生活に多少の潤いや温もりが増すような…という楽しさを知ったのだが、なにぶん、数が増えればそうした最初の気持ちだけではなくなってもくる。それで考えてみたのは、展示期間中に、お答えいただける範囲でアンケートをとるということ。別に無記名でもよいし、答えていただけることだかえで構わない。そうすることで、同じ作家さんの展示を次ぎに行うときは、リクエストやご要望を反映してグレードアップさせることもできると思うし、本についての感想と違った生の作品に対する感想や意見を作家さんに伝えることもできると思うのだ。そうやって、作家さんとお客様と店とで一緒に展示自体も育てていければよいのではないか、と思いついたりした。理解・協力を得られるだろうか。
- ●02.03.12 自殺サークル
- 今日はこれから週末からの古屋兎丸氏の展示のために絵を預かりに行く。
- 新作の「自殺サークル」は園子温監督のすすめで、古屋氏が同名の監督の映画の中の1シーンからインスパイアされた話を漫画で描きおろした、映画とは別の物語である。ネット、都市神話、消費、自傷…に取り囲まれた女子高生たちが見えない何かで呼び合って(ネット社会で見えない糸に呼応しあうとういうのは、いとうせいこうの「ノーライフキング」みたいな感じ?)未曾有の集団自殺を繰り広げる、「いま」だからこそそんなフィクションがリアルに感じられる話である。といえば、いかにも、杓子定規な紹介だが、そんなことより、これは単なるホラーとしてもとても面白いコミックだと思う。
- デビュー直後から、繊細さと技巧派ぶりが目立って、ギャグを描いても面白さより巧さが勝ってしまう(=ストーリーから得る情報量よりも絵から得る言語化できないような情報の多さに迷い入ってしまうとでもいおうか)ことが多々ある古屋氏だが、今回、描き下ろし期間が1ヶ月ほどという厳しい制約の中で、そうした技巧が適度にそぎ落とされて、ネット社会や都市伝説、中央線の飛び込み自殺といった現実と秘密結社的な女子高生世界と集団自殺という物語がブレンドされたホラーにも読めるのだ。これまでの兎丸作品とはまたちょっと違った趣かと思うので、兎丸ファンはもちろん、ホラー好きな方、美少女もの好き、また兎丸を堪能しきれないでいた方もチャレンジしてみてください。
- ●02.03.11 スローメディア
- 「本とコンピュータ」を読んでいたら、スロー・メディアという言葉を目にした。最近注目される、ファーストフードに対するスローフードのように、メディアとしての速度や定着は遅いがそれだけに時流から一歩ひいた信頼のおけるメディアというような意味で、その例としてインターネットに対する書籍が挙げられていた。なるほど…。年々多くなる出版点数とそれに反比例するかのように一冊一冊の本の滞書店時間は縮まりじっくり書籍が売れないとか様々な問題があるなかで本を売っているとこの先、書店はあるいは出版業界はどうなるのだろう?と考えずにはいられない。紙の本がまったくなくなるとは思えないのだが、それにしてもかなりの部分がネットに移行してもおかしくはない。そんな中でのフローメディアとしての本。確かに、一時期かげりがみえた映画の世界も、それでも映画が好きな人々によって細ーく、しかし熱く盛り返しを見せるように、本の世界も淘汰の後に、新たな本の役割がもっと見えてくるのかもしれない。坂本龍一がネットによって9.11を考え、やがて「非戦」という本にしたのは、メディアの使い分けとして面白いような。
- ●02.03.08 超アメリカンコーヒー
- 労災のための書類を作ったり、出張販売の売上の振込を請求するための書類を作ったり…、そんな諸々の書類を作っているうちに数時間が過ぎてゆく。店をやっていると、本を仕入れるとか売るといった仕事以外のこういう事が結構多い。電話の伝言、書類の作成、電話やメールへの返事、いろいろな事があって、いつも何かこぼしてしまうような…。ときどき、自分の駄目さ、だらしなさに落ち込む。
- カメラマンの豊浦正明さんがみえて、タコシェでの展示を5月末からに決定する。
- わざわざおいでいただいたので、コーヒーを買ってきてお出ししたが、イトーが最近その店のコーヒーはどんどん薄くなっていませんか?という。そのせいか氏も最後にわざわざ「確かに薄かった」と言葉を残して去って行ったので、後で同じものを飲んだら驚くほど薄味でまずかった。
- 日本人の10人に一人は花粉症というので、最近、電車の中やいろいろな場所で、全人数に対するマスク人口を数えて、検証している。
- ●02.03.06 一日一善の過剰な親切と尾藤イサオ
- 昨夜11時すぎ、帰宅途中、電車に乗って、つり革につかまりながら本を読んでいたら、正面の席に座っている中年の男性が、突然、私のコートの裾をひっぱった。もしかして、社会の窓が全開であるとか、気づかずに漏らしているとかいったことをそっと知らせようとしてくれているのかしら…と思って緊張気味に男性を見ると、彼はちょっと席をつめて10センチほどの隙間を作りながら「立ちながら読むんじゃたいへんだろう。座りなよ」とすすめてくれた。さすがに座席が狭いので、図々しい私でも座る勇気はなく「もう少し痩せていたら座りたいのですけど…、ありがとうございます」とお断りした。男性は「そうか、じゃあゆっくり座るか…」と答えた座りなおしたが2分ほどして、おもむろに立ち上がると、私を抱くようにして「いいから座って」と丁寧に自分の座っていたところに私を押し込めたのである。親切を拒むのも悪いが過剰な親切におののきながらお礼を述べたものの、男性は次の駅で降りるでもなく近くに立っている。たいへん不思議であった。もしかして、彼は一日一善を己にはたしていて、残り少ないその日のうちに何かをせねばと私に席を譲ったのかもしれない、とか?
- 今日は私が尾藤イサオを好きだと言ったことから、帝国劇場で彼が出演しているミュージカルのチケットを手配していただけたので、観劇にでかけた。例えば電車の中の携帯電話の通話というのは何か返事が聞こえない語りかけや問であるせいか、聞いてはいけないと思いながら妙に耳に入ってきてしまうのとは反対に、音楽を聞き流したりBGMにするクセがついている者にはミュージカルの文法に慣れるまでの最初の何分かはうまく頭に入ってこない。しかも、ふつう会話にしないような状況説明まで歌うのだから。とういうのはさておき、いつまでも若々しい生・尾藤イサオが青年水兵を演じる姿を楽しむことができた。
- ●02.03.05 21世紀のアート
- 松井みどりさんの「アート:“芸術”が終わった後の“アート”」を読み終える。
- アメリカの美術の状況を中心にポストモダン以降80年代90年代のアートについて整理、解説することによって、21世紀のアートの方向性を示した本。口語に近い、やさしく丁寧な文体で、その時代時代の典型であるような作品を具体的に示しながらアートの系譜の中にきちんと位置づけてゆくので、なんかすごく頭の中が整理整頓された気分。アメリカの例が多いのだけど、同時期の日本の作品も少しずつ出てくるので、世界の潮流の中での日本のアートの位置づけもわかって、入門書としておすすめ。
- ●02.03.04 東東京再発見!
3日はオンラインショップ「クローバーブックス」が画廊(opa!ギャラリー)で展覧会形式の期間限定のショップを行っているのででかける。美術や映画関係の本を中心とした品揃えに作歌の手作り品を加えた構成。私は平林さんが構成した西村公朝の仏像関係の本を購入。これまで仏像関係の書籍は何種類か見たがその中でも西村公朝の説明はとてもわかりやすい。いろいろな種類や形を、仏像のなりたちに戻って説明しながら、なぜ仏像なのにグロいものがあるのか、などその理由までわかりやすく話しているので親切なのだ。
というのはさておき、平林さんと私の家がかなり近所であることがわかり互いに感激する。意外と近所だったというのはよくあること…と思われるかもしれないが、それは西荻窪とか世田ヶ谷区とかそういうところに住んでいればの話。東京でも東東京、葛飾区では、そういうことは滅多におこらない。たくさんの人が集まる飲み会に出席しても帰りのタクシーの相乗りの相手はみつからない、それが東東京。ところが、つげ義春/忠男御兄弟の漫画で知られる土地・立石の駅前のラーメン屋のうまさをともに語り合える人に出会えたのである。お互いこれまでひとりではなかなか踏み込めなかった飲食店にもチャレンジできると心を強くした。葛飾から東東京発見を目指して私はやる気である。
- ●02.03.01 出血る?
- 著作権についての本を読んでいると、書店の仕事の中でいろいろと役立つことがある。制作の仕方が特殊なものなど、逆に作家さんや制作の型サイドから店置きが可能かどうかきかれることもある。もちろん、それはケースバイケースで、その作家さんが最初にどういう条件で出版なりグッズ制作を許諾したかにもよるのだが。
- 知らないと知らないで何かその場の取り決めでずるずると運びそうなことが、知ることで何か基準ができてきたような…。
- あと、話は全然違うのだが、昨夜、店からの帰り中野駅前で女の子たちが立ち話をしていて、そのうちの一人が大声で「ていうか、私、今、出血ってるのが思い切りわかるんだけど」とか言っていたが、一見したところ、彼女が大けがなどしている様子はない。何を言いたいというのが。もしかすると「二日目」である、ということを言いたかったのか…。たいへんな世の中になってきているようである。
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